会社を大きくするリスク

50年ほど前にボーリングブームが沸き起こり、それにつられてボーリング場がアチコチに建てられました。

ちょっと広めの遊休地を持っていた会社が「副業」でボーリング場を始めた例もあったように思います。

日曜日など「3時間待ち」などという現象が垣間見られたのですが、いつの間にかブームがしぼみ、あとには人が来ないボーリング場だけが取り残されました。

今回の民泊ブームやホテルブームも同じような現象です(まさかこれほど早く苦境が来るとは思いもしませんでしたが)。

ホテルはともかく、民泊あたりだと我が社でも手が出せる範囲の事業なので「やらなくてよかった」と、いま改めて胸をなでおろしているところです。

ホテル業を営んでいる知人の会社が民事再生法を申請しました。

創業者でもある社長は、学生時代からスキーバスをチャーターするなどの事業をしてきて、就職せずに今の会社を立ち上げ、拡大してきました。

仕事が途轍(とてつ)もなくデキたわけで、事業に打ち込み、人柄もよく、少なくとも放漫経営ではなかったように思います。

そうなるとやはり一番大きな「敗因」は160億円もの借入れと、1,000名もの社員を抱える莫大な固定費に尽きると思われます。

会社を大きくしたいというのは事業家の本能のようなものですが、仕事の楽しさ自体は小さな会社でも十分に味わうことができます。

たった1人の会社(厳密に言うともう1人女性事務員さんがいます)で、海外のブランドホテルを別府に呼び込み、設計やゼネコンなどすべてをコーディネイトとして、開業まで持っていった人を知っています。

この会社(というか、個人事務所)は「どでかい」仕事をしているのに、ノーリスクで潰れようがないのです。

ちなみにこれだけ不動産関係の仕事をこなしてきているのに、この人が買った不動産は自宅だけなのだそうです。