会社の社会貢献

その国の経済が良いか悪いかを図るのに、一つだけ経済指標を選べと言われたら、私は「失業率」を挙げたいと思います。
1929年の大恐慌時、アメリカの失業率は25%だったのですが、今のスペインも全く同じ25%。
しかもスペインでは若者の失業率に至っては50%なのです。
若い人の2人に1人が職を持てないのというのは、相当きつい社会ではないでしょうか。

このところスゴイ経営者と次々と会っているので、日本が不況とはとても思えない気持ちになっているのですが、仮に今の経済状態がグンと良くなったとして、失業率が大幅に下がっていくのかと言えば、そうでもないような気がするのです。
つまり企業は人がいなくても業績が上がるように体質改善済みだということなのです。

アメリカの企業などその傾向が特に顕著で、企業は過去最高の業績を上げているのに、人の採用はそんなに増えていないと言った状況が見られます。
一つはITがどんどん発達し、中間管理職や事務職がいらなくなってきたという理由が考えられます。
また製造業であればロボットの導入やその他の合理化で、人がそんなに必要でなくなってきたのかもしれません。

会社が欲しい人材と、職を探している人との、能力のギャップが大きくなってきているのは、私が日常でも感じることです。
社員を募集すると、たくさん応募があるのだけれど、採用したい人がいないといった声はよく聞かれます。

経営者にとっては、少人数で高収益が挙げられるような会社の体質にしていかなければないのは言うまでもないのですが、一方雇用の創造といったこともその使命としてあるのではないでしょうか。
先日会った経営者は、立体駐車場を何十カ所も運営しているのですが、それらに必要な管理人を契約社員として雇用しています。
けっして年収は高くないのですが、そういった仕事を社会に供給することにより、とりあえず大助かりな人たちも多いわけです。
利益をたっぷり出して納税するというのも立派な社会貢献ですが、雇用を創造するというのは、それ以上に大事な社会貢献かも知れません。