不況の厳しさは失業率を基準に

不況の厳しさを判断するのに、失業率が一番分かりやすいのではないかと思います。
今は特に若年層(25歳未満)の失業率が高く、例えばユーロ圏では全世代の平均失業率が10.0%に対し、若年層だけだと21.0%。
欧州版「大学は出たけれど」です。

アメリカでは、全世代平均が10.0%に対し、若年層は15.6%。
日本は全世代平均が4.8%で、若年層は8.4%。
欧米に比べれば失業率はまだましなのですね。
GDPが10%を超えると言われる中国でも、データは分からないのですが、大学の新卒の就職はかなり厳しいようです。
ちなみに1929年に始まった大恐慌の時のアメリカの失業率は25%でした。

景気の回復が、アジアはV字型、アメリカはU字型、そしてヨーロッパはL字型と言われています。
サブプライム問題から始まった今回の経済危機で、一番影響があったのはヨーロッパだと思います。
特にイギリス。

産油国の資金がロンドンを通して世界に投資されてきました。
ロンドンは地理的に中東に近いし、アメリカでの投資だと、イスラム敵対政策が出てきた場合リスクがあるからです。
ロンドンのシティはニューヨークを凌駕するほどの金融センターになっていました。
そこへドーンと金融危機
たまったものではありません。

イギリスはヨーロッパの不動産ブームの中でも最先端を走っていました。
私も不動産業者として、また不動産投資家として経験があるのですが、バブルが崩壊するエネルギーは津波と同じで、人力では対処不可能なのです。
またバブルの最中は、永久にその状態が続くような幻想にとらわれ、まともな判断が出来ません。
バブル及びバブル崩壊の時に的確な判断をした人は、私が見る限り「動物的感」の持ち主か、しっかりした経営哲学を持った人だけでした。

バブル崩壊でも、ほとんどキズを負わなかった地銀を知っていますが、そこは不動産融資に積極的でない伝統がありました。
不動産担保で焦げ付いた時、建物から人を追い出す必要があり、それを創業頭取があまり好きでなかったからだと言います。
ある建築会社も、バブルの間は一切土地に手を出さず、その間社員に徹底的に建築の勉強をさせたそうです。
企業は積極果敢に攻めなければいけない場合もありますが、逆に頑なにポリシーを墨守しなければならない場合もあるわけです。