世界経済を個別にみる その2

ここにきてアメリカのシェールガスと日本のメタンハイドレードという資源が、新しい経済要因として出現しました。
ひと言で言うと両国にとって、ひじょうにラッキーな出来事です。
シェールガスは頁岩(けつがん)という岩から天然ガスを取り出す技術によって生産され、実際に市場に出てきています。
今までは抽出できなかったものが、技術の進歩とともに、資源として実際に活用できるようになりました。

メタンハイドレードは日本の領海内の海底に存在する「燃える石」とも言われる物質です。
シェールガスメタンハイドレードも、ほぼ無尽蔵に存在しているのです。
日本は長い間「資源のない国」で来たのですが、資源大国の可能性すら出てきました。
今でも「良質な水」は有力な輸出商品候補だし、無尽蔵とも言えるメタンハイドレードだって輸出するようになるかもしれません。

さて目を欧州に向けると、なかなか大変な経済が横たわっています。
サブプライム問題を発端とした今回の世界同時不況は、アメリカが震源地のはずなのに、ヨーロッパが一番パンチを受けています。
EUを揺るがしている欧州経済危機は、1989年をピークとした日本のバブル崩壊とそっくりな動きをしています。
不良債権により銀行が危ないのです。
日本でも実際にいくつもの銀行が倒産しましたが、まさに同じ状況なのです。

もっと酷(ひど)いのは失業率で、25%を超えているなどというのは尋常ではありません。
しかも若者の失業率に至っては50%なのです。
日本のバブル崩壊でも、そこまでは行きませんでした。
日本はバブル崩壊以降「失われた20年」を経験しましたが、ヨーロッパ経済も回復までにそれぐらいの時間がかかるのではないかと推測されるのです。

中国経済はどうかというと、今はバブル崩壊の過程であると私は見なしています。
日本のバブル崩壊の時でも、すぐに全面的に経済が悪くなったかと言えばそうでもなく、銀行が倒産するまでには暫く時間がかかりました。
株価だって4分の1にまで下がるのに、けっこう時間がかかっているのです。

中国経済は「輸出」と「不動産」が2大看板でした。
中国からの輸出は意外なことにヨーロッパ向けが一番多く、そのヨーロッパ経済がガタガタなので、中国の輸出産業は相当苦しいはずです。
また中国で生産していたアメリカの製造業が、アメリカに戻る動きを見せています。
そうすると中国からの輸出が減るのは間違いありません。
日本とも「半交戦状態」。
そんな状態で、双方の輸出入だけが伸びていくなんてことは考えられません。

日本でもバブル崩壊によって、不動産価格が商業地で10分の1、住宅地で5分の1になりましたが、中国もいずれそうなるはずです(もっとガタガタになるかもしれません)。
こうして見ると、アメリカ経済と日本経済が勝ち組。
欧州経済と中国経済が負け組ということになります。
アメリカと日本が手を結べば、かなり強力な経済になることは間違いありません。