世界動向を考える その1

『ウォールストリート・ジャーナル』と『フィナンシャルタイムズ』を購読しています。
前者はアメリカの新聞で、後者はイギリスの新聞。
従って『フィナンシャルタイムズ』には、ヨーロッパの記事がよく出てきます。
日本の新聞にはあまり掲載されないヨーロッパの記事を知ることが時たまあります。

先日、スペインの失業率が25%近くになったことが書かれていました。
1929年の大恐慌の時のアメリカの失業率が、やはり25%でした。
4人に1人が職を失う社会って、いったいどんな状況なのか想像がつきかねます。
日本の昭和末期バブルの崩壊の後でも、失業率が25%ということは決してありませんでした。

スペイン経済の絶不調の原因は「不動産バブルの崩壊」の一言に尽きます。
欧州全体の好況が長く続き、スペインの不動産にカネが流入し、不動産バブルが起こりました。
バブルはどこかで弾(はじ)けるわけですが、弾けてみて初めてバブルだったと分かるのもバブルの特徴。
「山高ければ谷深し」の法則の適用は、古今東西を問いません。

スペインは観光地としては一流だと思いますが、ほかに一流の産業があるのかと問われれば、答えに詰まります。
もともと経済の底力がそんなにない国がバブル崩壊を経験すると、相当厳しい状況となることがよく分かりました。

ヨーロッパの経済問題は、スペインだけにとどまりません。
ギリシャの具合の悪さは有名ですが、「PIIGS」として、あとまだポルトガル、イタリア、アイルランドが残っているわけです。
欧州の経済不安を解消するために、日本はIMFに600億ドル(約5兆円)を拠出することを決めましたが「震災復興や増税やら言っている日本がよくそんな余裕があるなぁ。日本国民は誰も文句を言わないのか?」と知人のアメリカ人にもドイツ人にも不思議がられました。

確かに日本の新聞を見ても、IMFへの支出の件に関し、批判めいた記事は載っていなかったように思います。
私もまた、このことに関してはよく勉強していないので、いいとも悪いとも今は答えられません。