世界経済を個別に見る その1

その国の経済の状態を知るために、実際にその国を訪れても、なかなか実態が分かるものではありません。
しかしながら経済の具合が悪い時は、空き店舗の多さや、街の汚れ具合、あるいは見かけたホームレスの数などから、何となく状況がつかめるかもしれません。
好況の場合は、ホテルの値段がとても高くなったりします。

新聞や本で情報を得て自分なりに解釈したのち、何らかの仮説を打ち立て、その仮説の検証に現地に向かうのは、かなり有効な現状把握方法ではないかと思います。
机に向かっての勉強と、現地での肌感覚の両方が必要なのかもしれません。
でも、中国の場合は当面訪問しづらいものがあります。
反日雰囲気や大気汚染や暴動懸念などがあるからです。

アメリカ経済は底堅く回復に向かっているように見えます。
先進国で唯一人口が増え続けている国でもあり、不法移民の数まで入れると、実態は発表された人数よりも、ずっと多いのではないでしょうか。
また労働者階層だけでなく、世界中の頭脳が集まってくる魅力を持った国でもあります。
日本生まれなのですが、今はアメリカ国籍を取得している人がノーベル賞を受賞したこともありました。
グーグルやヤフーの創業者には、ロシア系やアジア系の人がいます。

アメリカは何といっても「シェールガス革命」進行中なのです。
頁岩(けつがん)という地層から取れるガスは莫大な量が見込まれています。
安価で豊富なシェールガスが生産されるようになると、もう石油や天然ガスの輸入に頼らなくてもいいわけです。
石油や天然ガスの確保が必要ないのであるならば、例えば中東に展開しているアメリカ軍を撤退しても何ら問題ないということになります。
従ってアメリカ軍の軍事的な世界戦略が根本的に変わる可能性があるのです。
シェールガスは、アメリカの経済にプラスになるだけでなく、軍事的な負担も軽くしてしまうという二重の効果が考えられるのです。

安価なシェールガスアメリカから輸入できるようになると、日本経済にとっても大きなプラスになります。
そういう意味でも、日米の連帯をより一層強めていくべき時代になってきました。
そのためにもTPP締結が必要なのかもしれません。
TPPの本質は「対中国包囲網」なのです。
単に経済的な側面だけでTPP問題を考えると、本質を見誤ることになりかねません。

シェールガス革命が資源国に打撃を与えることは間違いがありません。
中東の産油国のみならず、資源大国のロシアにとっても、国の興廃にかかわる重大事項なのです。
アメリカのシェールガスのみならず、実はいま日本領海内でのメタンハイドレードが大きな注目を浴びています。
日本が資源大国になってしまう可能性大という、スゴイお話なのであります。