不動産マーケットの変化 その2

経済のグローバル化ということは、価格も世界標準に向かっていくということでもあります。
特殊な商品でない限り、価格はどうしても低い方に引っ張られていきます。
日本では今すべての不動産マーケットが供給過剰になっています。
個人用の住宅や賃貸住宅、また店舗や企業のオフィスも過剰状態。
不況に加えて、60数年間戦争がなく、また低金利に後押しされて、建物が造られ続けてきたことも、不動産が余る要因の一つかもしれません。

いずれにせよ大量供給の時代は終わりました。
いま全国に760万戸の空き家があります。
新築マンションが分譲され、仮にすぐに完売になったとしても、それはまわりの賃貸住宅から人が移ったというだけの話であって、空室率は下がりません。
マンションデベロッパーや住宅メーカーは、他社のパイを食うことは出来ても、全体のパイが増えることは、もうあまり考えられないということです。

アメリカの空き家は1,000万戸と言われています。
それに対し日本は760万戸。
日本の住宅レベルは世界でもトップクラスとなりました。
街並みがやや劣る嫌いがありますが、これはアジアの都市の特徴。
ヨーロッパの街を旅すると、街並みの美しさに心奪われることがあります。
考えてみれば、日本の衣食住はすべてもう最高水準になっています。

一言で言うと1989年のベルリンの壁崩壊以降、世界経済はインフレからデフレへと変化しました。
しかしながらデフレでも価格が上がっているモノがあるのです。
バブルのピークと比べると、不動産価格はざっと5分の1になり、株価も4分の1になっています。
ところが原油価格はバブル時の4倍、金の価格も4倍なのです。
バブル時に株を買った人と、金を買った人とでは、今16倍も資産の差が出来てしまっているという計算になるわけです。