働くことにより霊性も高まる

社長という人種は外面(そとづら)はいいのですが、会社内部では怒鳴り散らしていたりします。
特にちょっと自信の出来た30歳代などは、お客様や目上の人間に対しては慇懃(いんぎん)なのですが、目下の人間や部下や立場の弱い人に対しては、実に傲慢な態度を示すことがあります。
時にホテルや飛行機で、そのような人を見ると、自分の若い時を思い出しゾッとします。
そういった人は、やがて業績が落ち目になると、誰も助けてくれなくなるわけです。

法律上は20歳が成人でいいのでしょうが、精神的な成人は45歳ぐらいではないかと感じます。
それまでは余程「できた人」でない限り、みんなお粗末です。
私は44歳の時に結核で4カ月もの入院をし、それ以降あまり怒らなくなりました。
それまではすぐにイライラしては、まわりに当たるという愚を繰り返していました。

運動能力はふつう年を取るとともに衰えていくわけですが、精神的なものは心がけ次第でどんどん伸びていきます。
その場合、やはり仕事を続けていくことがとても大事ではないかと思います。
松原泰道さんや磤地三郎さんなどに至っては103歳の現役。
日野原重明さんにしても98歳。
頭も極めてシャープで、その仕事量にも驚かされます。

長谷川慶太郎さんは82歳。
どうしてこんなに新しいことを次から次へとご存じなのかと、いつもその情報力に舌を巻きます。
渡部昇一先生や竹村健一さん、日下公人さんや堺屋太一さんなどは、今年80歳になります。
日本のオピニオンリーダーを、もう40年ぐらい続けているのではないでしょうか。
やはり仕事をやっていてこそ、精神性も霊性も伸び続けていくのだと思います。