がんばれ!日本の家電メーカー

かつて日本にはソニーや松下や三洋や東芝や日立などの有力家電メーカーが存在していて、海外のメーカーが入り込める余地は全くない状態が続いていました。
日本の消費者は海外メーカーの製品を「安かろう、悪かろう」と見下しておりました。
ところがここ数年で状況は様変わりし、韓国サムスン製のスマホが品薄状態になったり、中国ハイアール製の白物家電がホームセンターで売れに売れていたりするようです。

商品がコモディティ化すると、少々の技術的優位さなどは吹っ飛んでしまうのかもしれません。
そもそも技術的優位さというのが、今なおあるのかどうかも疑問に思えてきました。
パナソニックやシャープやソニーは莫大な赤字を計上しました。
同じ家電メーカーでも、東芝や三菱や日立は利益を上げています。
この違いは何かと言うと「軽小短薄」市場のみに軸足を置いているのか、それとも「重厚長大」型のインフラ事業を行っているかどうかであると思います。

いま日本では原子力発電はちょっと分が悪いのですが、世界的に見た場合、大型原子力発電所は、日立、東芝三菱重工の3社しか作ることが出来ません。
こういったインフラ産業は技術と経験の積み重ねが必要で、一朝一夕には真似できるものではないようです。

「軽小短薄」市場に生きるシャープやパナソニックソニーなどの会社は、今後よほど優れた戦略を打ち出さなければ生き残れないかもしれません。
シャープは台湾のホンハイグループと提携しました。
パナソニックは本部機能をも縮小中です。
企業の再建は得意分野に特化していくことが一番手っ取り早いのですが、その得意分野に海外の手ごわいライバルがいるわけで、今後どういう手を打って行くのかに非常に関心があります。

いずれにせよ、今や海外のホテルで日本製のテレビを見かけることはまずなくなりました。
これを巻き返すというのも戦略だし、テレビから撤退するというのも戦略の一つです。
あるいは日本国内に市場を特化するという戦略もあるかもしれません。
こういった大きな戦略は、単に「仕事ができる」といったレベルではなく、真の意味での経営者の「地頭(じあたま)」が問われるのだと思います。