捨てるということ その3

会社の寿命は30年と言われて久しいのですが、今

はもっと平均寿命が短くなっているのではないで

しょうか。

生き残っている会社は、大企業といえども、稼ぎ

頭の商品がどんどん変わっていっているように思

うのです。

ましてや中小企業ともなれば、変化していかなけ

れば明日はないのです。

不動産業でもそうなのですが、勉強熱心な社長は、

他社に見学に行っては、うまくいっているシステ

ムや商品や事業を取り入れようとします。

結果、日常業務がパンパンになってしまい、そう

でなくても乏しい企業資源(ヒト・モノ・カネ・

情報)が細分化されてしまうのです。

一旦試みるのはいいのですが、アカンとなればサ

ッサとそのシステム・商品・事業を捨ててしまう

必要があります。

「捨てる」という知恵や勇気を持たないと、会社

はメタボ状態になり、いい仕事ができなくなりま

す。

一つの事業を捨てる決断は、カッコよく一刀両断

にできるものではありません。

何日も何日もそのことばかり考え続け、迷いに迷

ってやっと結論が出るというのが現実ではないで

しょうか。

一番いけないのは決断しないということ。

「やる」か「やらないか」という明白な決断もあ

りますが、考えた挙句「今は保留にしよう」とか

「もう少し様子を見よう」いうのも立派な決断だ

と思います。

事業を捨てるどころか、会社を売却する、あるい

は廃業するという決断もあります。

苦渋の決断ですが、決断をパスするわけにはいき

ません。

ある倒産したスーパーの社長の本を読んだことが

ありますが、倒産するまでに2度も買収の話があ

ったのに、見栄を張ったり、意地を張ったりして、

せっかくの申し出を断っているのです。

正しい判断は「正しい心のありかた」から生まれ

るのは間違いありません。

特に「素直さ」というのは、経営者にとって極め

て重要な資質であるように思うのです。