読書と生き方

小学校の同級生に関西経済界の重鎮がいます。
名前を聞けばだれでも知っている会社の代表取締役でもあります。
そのポジションや人柄や年頃感から、いくつもの経済団体のトップに就任を乞われ、実際にそれらの会長職をこなしていっています。

先日、たまたま会う機会があり「読書」の話になりました。
友人は月に1冊本が読めるかどうかのペースなのだそうです。
私はそれを聞いて「こんなに肩書のスゴイ人でもその程度なのだ」とちょっと拍子抜けしました。

断っておきますが私はその友人には悪意は全くなく、むしろ好意100%です。
「経済界の重鎮でも本に関してはこの程度だとしたら、自分は案外いい線行っているのかもしれない」と、変な話ですが何だかうれしくなってきました。
ランチェスターの法則的に言うと、読書は私の「ナンバーワン商品」だし、最大の「売り」であり、また「生き筋」なのであります。

先日「仕事も出来て性格もいい」後輩2人と食事をする機会がありました。
2人ともテキパキと仕事はこなせても、読書は全然していないようで、これにはちょっとビックリしました。
大衆が本を読まないのは理解できるけれど、いわばエリートが本を読まないのは理解が出来ません。
「世の中の人たちは、あまり本を読んでいないのだ」ということに気づかされたという次第なのであります。

実際、忙しいと“なかなか”本が読めません。
これまた最近気がついたことなのですが、同じ経済の世界に生きていても、実務家と投資家とでは、行動パターンがちょっと違っているのです。
投資家である(しかも世界一の投資家の)ウォーレン・バフェットは企業や市況や経済に関するあらゆる書類に目を通すと聞きます。
読書だって1日6時間。

私は大学を卒業してからつい最近までずっと「実務家」でやってきました。
バタバタと“やたら”手間や時間ばかりかかる仕事に“あくせく”して30年以上過ごしてきたのです。
そしてここ2,3年にして漸(ようや)く投資家に変身したというわけです。

家族も犠牲にして(というか自分も犠牲にして)働いてきたこの30年間が本当に有意義なものだったかどうかは不明です。
が、間違いなく言えることは「過去のことを“とやかく”言っている暇はない。自分が考えなければならないのは将来のことだけ」であります。
もうポジティブに生きるしか方法はないじゃないですか。