夕方5時に帰るためには…。

営業中心の猛烈会社は、ともすればブラック企業に陥(おちい)りがちです。
私も若い頃、労働時間だけは長かったので、ブラック企業の気持ちはよく分かります。
長時間労働だけならまだしも「顧客第一主義」などと言いだすと、社員は皆ヘトヘトになってしまいます。

「顧客第一主義」が間違っているのではなく、「顧客」のところを選ばないと体も気持ちも持たなくなるのです。
誰でも彼でも顧客として取り込もうとするのではなく、好きなお客さまや尊敬できる人たちに徹底的に尽くす方が自然だと思うのです。
そうでない場合は仕事とはいえ、ちょっと苦しい。

離職率が高いと、新しい人を募集しないといけないし、またその人に一から教えなくてはなりません。
エネルギーのムダだし、非効率です。
また「顧客」という面でも、お得意様を大事にする方が、新規客を一から集めて来るよりもずっと楽です。

つまりずっと同じスタッフで、ずっと同じお客様を相手にする方が圧倒的に楽だし、効率的だし、いい仕事ができると思うのです。
私はこれが本来の会社の姿だと思うのです。
世の中の会社の多くは、何か勘違いをしているような気がしてなりません。

終電まで残業するのが当たり前のような会社の女性経営者が、ある日ふと疑問に感じました。
「この会社で働いている女性は、結婚は出来るかもしれないけれど、忙しすぎて、とてもじゃないけど出産はできない…。これってちょっとおかしいんじゃない?」

そこでどうすれば17時に帰ることができる会社になるのか、さまざまな知恵を絞りました。
まずは電話営業をインターネットでの集客に変えました。
電話営業だと、実際に営業につながる確率はわずか1%だったのだそうです。

自社のコアは何かを考え、コア以外の業務はすべてアウトソーシングに切り替えました。
今ではコールセンターや配送業務はすべてアウトソーシング
それだけでなく、採用活動やPR活動までアウトソーシングしているとのことで、これにはちょっと驚きました。

事務作業は自社で行っているのですが、すべてシステム化し、簡単なインプットで業務を進めて行けるようにしました。
結果、手間もミスも激減しました。
会社の仕事なんて、本気になればいくらでも進化させていくことが出来るのですね。
この事例を知り、私も改革に俄然勇気が出てきました。