カイゼン

「いい会社をつくりましょう」が社是の伊那食品工業では「年輪経営」ということを唱えています。
年輪経営とは、大木が年輪を刻んでいくが如く、ゆっくりと、しかし確実に大きくなっていくことを意味します。
従って「急成長」などというのは年輪経営の理念から大きく外れているのです。

当社が一番合わないのは「モーレツ経営」。
実は今まで何度かモーレツ経営を試みたのですが、その都度失敗してきました。
「モーレツ経営」自体は正解とも不正解とも言えず、その会社の社風に合っていれば正解、合っていなければ不正解というわけです。
やっぱり当社が目指すのも年輪経営がいいのかもしれません。

「市場の変化に合わせて自社を変えていく」ことは不可欠で、これをしないと会社は生き残っていけません。
市場の変化だけでなく、自社内での変化もあるのです。
例えば社長や社員は年々年を取っていきます。

社長交代や新しい社員をドンドン採用するといった手もありますが、それが出来ない場合もあります。
でも自社に合った方法で変化させていかねばならないわけです。
それをしないでいると、消滅。
「消滅」には自主廃業も倒産も含まれます。

変化するために一番いい手は、自社が最も得意する分野に経営資源を集中させること。
あれもこれもやろうとしても、結局上手くいかないと思うのです。

古い事業を整理する間、売上げの低下が見込まれます。
新規のコアとなる事業が育つまでは、やはりコストの見直しで収支のバランスを取っていくしか方法はないと思うのです。
それも電気を消すとか、コピー紙の裏を使うとかいった小手先のコストダウンではなく、抜本的な改善によってコスト削減を行いたいと思うのです。

外部に委託している仕事を内製化するのも一つの方法です。
いくつかある会社を一つにまとめるのもコストダウンに寄与するかもしれません。
案外、時間の節約を考えるのが一番抜本的コストダウンにつながるかもしれません。

「やらなくてもいい仕事」に一生懸命時間を費やし、データを整え、きちんとファイルしてキャビネットに並べ、そしてあとは誰も永久に見ないというようなことが会社には結構あるのではないかと思うのです。
カイゼンやコストカットのことを考えるのは、一種の知的なゲームで、ちょっとワクワクするのです。