ギリシャの問題

ギリシャの株式市場が再開され、16%値下がりしました。
銀行株に関して言えば30%もの値下がりとなりました。
もし私が株主であっても、真っ先にギリシャから逃げ出したいと思うはずです。
ギリシャの失業率は25%、若者だけで言うなら50%を超えています。
仮に私が20代のギリシャ人であれば、海外に職を求めるに違いありません。

急進左派の代表で今のギリシャ首相のチプラス氏は41歳。
一連のギリシャ危機でのドタバタ劇で、一体この人が何をしたいのかがよく分かりませんでした。
緊縮財政を求めるEUに対し、精一杯の抵抗をするのですが、やっていることが無茶苦茶なのです。

IMFやECB(欧州中央銀行)やEUとの困難な交渉を前に、突如「緊縮策を受け入れるかどうか」の国民投票を実施しました。
投票結果は60%の「ノー」で、これだけみればチプラス首相の圧勝でした。
ロシアにも接近していたチプラス首相の頭には「EUは何だかんだと言っても必ずギリシャを援助する」といった考えが支配していたのだと思います。

が、実際にEUの首脳陣との交渉に入ると、極めて厳しい反発があり、実際17時間もの長時間の会議となりました。
高をくくっていたチプラス首相に対し、ドイツなどから「ギリシャの5年間のEU離脱」という案が出され「本気でギリシャを追い出すつもりだ」と相当焦ったように思います。

結局、緊縮財政を受け入れざるを得なくなり、何のための国民投票なのかサッパリ意味が分からなくなりました。
チプラス首相を見ていると、東日本大震災の時の日本の首相とイメージが重なるのです。
人を“とっちめる”側に立った時は輝いているのですが、いざ自分が責任ある立場に立つと全く何もできないのです。

いずれにせよ、いったんギリシャ危機は解決したような形になり、世界の株価も動揺することがなくなりました。
が、またもやぶり返すことは目に見えています。

しかし緊縮財政だけではギリシャが生き返らないことも事実でしょう。
消費や投資マインドが縮小してGDPも減退するのは必然です。
ギリシャには観光業という強みがあるのだから、これをもっと徹底的に打ち出していくべきなのでしょう。

領土を売るわけにはいかないので、例えば空港の30年間の運営権を売却し、借金返済に充てるべきかもしれません。
JALを再建した稲盛和夫さんのような人が、ギリシャに出てくればいいのですが…。