中国の経済・社会・軍の動き

中国経済がおかしくなっています。
データがあまりあてにならない国ですが、バブル崩壊は間違いがないと思います。
中国の最大の顧客はヨーロッパなのですが、その欧州経済がガタガタになり、中国経済の強みである輸出産業に赤信号が灯り始めています。
もう一方の支柱である不動産業も、価格が下落し始め、かつての日本のバブル崩壊と同じ様相を呈してきました。

反日デモで日系のスーパーや百貨店が襲われたのですが、宝飾品なども盗まれ、政治的なデモと言うより犯罪といったほうが当たっているのではないかと思います。
政府は「反日」を煽(あお)りたいのだけれども、その矛先が「反政府」に向かうのを恐れ、最後には抑圧の方向へと舵を切りました。
中国政府の内部でも「開放路線派」と「毛沢東路線派」が猛烈な権力闘争を展開中で、今後どう転ぶかは予断を許しません。

日本はバブル崩壊の「先進国」なので、1989年以降の日本経済の動きを辿(たど)っていけば欧州経済や中国経済の今後の動きを予想できるわけですが、中国は政治面や社会面が特殊で、予見は極めて難しいと言わざるを得ません。
学校を出ても就職できない若者たちや、失業した工場労働者たちは社会の不安要因でもあります。
リーマンショック以降、中国政府は数十兆円ものカネを経済に投入してきたわけですが、それがそのまま物価高に転嫁した感があります。

日本の資産バブルでは、高騰したのは不動産や株やゴルフ会員権や絵画だけで、消費者価格はほとんど上昇しませんでした。
しかし中国では食料を始め、生活必需品の価格が上昇し、私も中国へ行った折、ガイドの話を聞きながら「民衆はどうやって生活しているのだろう?」と不思議に思ったものです。
普通国だと国民の生活が苦しくなると「政権交代」となるわけですが、中国は一党独裁なので、政権交代はあり得ません。
そうすると政権交代のかわりに、国家崩壊が起こるのです。
ソビエト連邦も同じパターンで国が潰れました。

人民解放軍シビリアンコントロールから外れた独自の存在となりつつあります。
しかもそれらが7つの軍区に分かれ、あたかも昔の軍閥のように、それぞれが独立軍と言った感があるのです。
人民解放軍は基本的には「対外強硬派」です。
この勢力が力を持ち始めると、周辺国にとっては厄介になります。
経済の崩壊や、社会の混乱や、軍の突出など、さまざまな要因が絡(から)み合い、今後の中国から目を離すわけにはいきません。