バブルと海外の経済

EUの首脳会議において17時間の討論の末、全会一致でギリシャ救済が決められました。
が、いずれまた問題が噴出してくるような気がします。
と言うか、3年後に今のEUという形が残っているのかどうかすら、かなり疑問でもあります。
ギリシャだけでなく、スペインやイタリア経済も具合が悪く、失業率25%とか、若者だけに限ると失業率50%とかいうのは、やはり尋常な事態ではありません。

中国経済も相当悪化していると感じます。
私は日本の90年バブルの崩壊を経験しているので、バブル崩壊の過程やその心理が非常によく分かります。
バブルが弾(はじ)けてから、実際に企業経営にハッキリとした影響が出てくるのには、かなりのタイムラグがあるのです。
90年代バブルだって、本当は1989年の秋には不動産のバブルが弾(はじ)けていました。

私は不動産業界にいたので、いち早くバブル崩壊を感じることができました。
なぜかと言うと、今まで市場にほとんど出てこなかった「売物件」が津波のように出てきたからです。
株価はその年末に38,597円のピークをつけたのですが、半年先の経済を見越していると言われる株価ですら、これに関してはちょっと間違っていたのです。

バブル崩壊が起こり、半年以内に実社会にその兆しが出てきます。
まだ世間はバブルの余韻でざわついていた頃、魚の卸売市場では「高級魚が売れなくなった」とのシグナルが出ていました。
2年もすれば、ほぼすべての産業でハッキリと売上が落ち込むようになりました。
バブル崩壊から7〜8年経つと、大型倒産が出てきました。
北海道拓殖銀行や三洋証券や山一証券は、ほぼそのようなタイミングでした。

だから中国のバブル崩壊は、これからが本番なのです。
中国政府が様々な手を使って株価の低下を抑えていますが、イビツな形は何かの拍子で必ず潰れるようになっているのです。
ソ連邦も散々イビツなことをしてきましたが、最後には国自体が崩壊してしまいました。
同じことが中国に起こらないとも限りません。

しかも中国は7つに分かれている軍区が軍閥のような形を取っており、政治の指導者も太子党共青団派上海派閥など、一枚板では決してありません。
また富裕層や失業者や学生など、民衆でもその立場が随分と違っており、因子が多すぎて今後のシナリオを予測することが難しいのです。
少なくとも日本企業は「君子、危うきに近寄らず」が正解ではないかと思うのです。