ギリシャ悲劇

ギリシャ増税、年金カット、公務員の削減などを実行中なのですが、そういった痛みを伴う政策に、ギリシャ国民がどこまで耐えられるかどうかが問われています。
この17日に再度の総選挙があり、それによってギリシャがどちらの方向に向かうのかがハッキリします。

ギリシャの街の写真を見たのですが、ゴミがうまく回収されていないようで、道路沿いはゴミの山でした。
個人の家でも会社でもそうなのですが、自己破産や倒産する前は、環境が凄まじく乱れます。
従って「ゴミの山」の写真を見た限りでは、ギリシャの再建はあり得ないのではないだろうかと感じました。

ギリシャGDPEU全体の3%しかありません。
だから仮にギリシャがユーロ圏から離脱したところで、数字的にはEUにとっては大した影響はありません。
しかしドイツやフランスの銀行がギリシャに貸し付けている債権が回収できないというリスクがあります。
またギリシャ地政学的に「対イスラム」の橋頭保とも言われ、ここがグラつくと政治パワーのバランスが悪くなるのです。
そしてギリシャがダメになると、次にスペインやイタリアの問題が顕在化してきます。
以上のような理由で、数字以上にギリシャの存在は大きいのです。

スペインの「バンキア」という銀行に一千億ユーロもの支援が行われます。
日本円で約10兆円という途方もない援助額なのですが、それがないとバンキアは早々に店を閉めなくてはならないのだそうです。
日本でもバブル崩壊のあとは、公的資金での金融機関救済が行われましたが、構図的にはこれと全く同じです。

スペインは猛烈な不動産バブルが起こっていたのですが「山高ければ谷深し」で、不動産の時価が急激に下がり(日本では商業地が10分の1にまで下がりました)、担保不足に陥り不良債権の山となりました。
今スペインの失業率は25%ですが、ゼネスト中の鉱山が破綻すれば30%にまで跳ね上がると言われています。
そうでなくても若者の失業率は50%を超えているのです。
一国の経済の実態は「失業率」が一番よく表しているのではないでしょうか。

日本は20年かけてバブル崩壊の傷を癒(いや)してきました。
日本が一人苦しんでいる時、欧米の経済は絶好調で、さんざん揶揄(やゆ)されました。
しかし日本は世界の先進国から一周遅れで走っているのかと思っていたら、実は一周早く走っていたのです。