通貨の信用力

堺屋太一さんの『凄い時代 勝負は二〇一一年』を読みました。
イギリスの世界支配を実現したのは「海軍とポンドと情報」なのだそうです。
ポンドを国際通貨にしたのはネイサン・ロスチャイルド
また情報発信を組織化したのはパウル・フォン・ロイター。
二人ともドイツ生まれの移民なのだそうです。
ドイツ語圏でミドルネームのところに「フォン」がつくのは貴族なので、ロイターは貴族だったのでしょう。

イギリスが「海軍とポンドと情報」ならば、アメリカは「軍事力とドルとIT」といったところでしょうか。
アメリカの軍事力は間違いなく世界一。
ドルも基軸通貨であることは間違いなし。
2008年にサブプライム問題から始まった世界金融危機では、アメリカ発の危機のはずなのに、ドルは円を除いたすべての通貨に対し「ドル高」となりました。
「最後に頼れるものは、やはりドル」といった感じでしょうか。

アメリカは財政も貿易も赤字です。
その赤字を埋めるのが国債
貿易して稼いだ分で、日本や中国がせっせと買ってきたのがアメリカ国債なのですが、売ると暴落の可能性があり、今や売るに売れない状態です。
アメリカの国債が暴落すると、アメリカはもとより日本も中国も困るのです。
むろん世界経済も大混乱となります。

ドルは基軸通貨なので、アメリカはドルを自由に印刷し、それを決済に充てることが出来ます。
これは基軸通貨の大特典。
しかしながら通貨は、それを使用している人が信用しているから通貨であって、ある日誰かが「この通貨をいつまでも信用していていいのだろうか?」と疑問を持った段階から通用しなくなります。
したがってドルもあまりムチャをしていると、「ドルは大丈夫なのか?」とみんなが疑問に思う日が突然にやってくるとも限りません。
バブル崩壊はだれが決めたわけでもないのに、突如としてやってきます。
通貨信用の崩壊も、たぶん来る時はあっという間だと思うのです。