世界経済の行方

今回の世界経済危機に関して、本まで書ける人はそんなに多くはなく、せいぜい十数人に限られるのではないかと思います。
今それらの本を片っ端から読んでいるのですが、当然すべての著者が同じ意見を述べているわけではありません。
読み手としては「何が正しくて、何が正しくないのか」、もっと言えば「誰が正しくて、誰が正しくないのか」の判断力が問われるわけです。

ギャンブルのコツは「ツイている人を見つけ、それについていく」ことだと聞いたことがあります。
その伝でいけば、ツイている人(予想を当てる人)を早く見つけ、その人についていくのがベストなのかもしれません。
いずれにせよ、世界経済の将来像など、自分の頭ではなかなかイメージが湧くものではありません。

芸術というのは、天上界にある「美」の理念の、この世的な具現化だと思います。
この世には、地獄の方を向いている美術や音楽も時々あり、そんなものを芸術だと勘違いしてはいけないのです。
同じことが著書でも言え、知識も洞察力も一流なのに、どうも心の根本のところがおかしい人がいるのです。
「頭の良さ」と「地頭(じあたま)」の良さはまた別で、すごい優秀なはずなのに、どこかで足を踏み外す人は「じ頭」が悪いのです。
有名な著者になると「頭」も「じ頭」も良い人が多いのですが、もっと根本的な心の部分が良くない人がたまにいます。
「心根(こころね)」が悪いわけです。
本を読むにあたって、やはりそういった著者は省いていかなければなりません。
そうでないと「ここ一番」で大きく判断を誤る危険性があります。

オバマさんの人間性は別として、大統領としての力量を買う人と買わない人がいます。
私のお気に入りのH先生は前者、O先生は後者。
見事に分かれているのですが、私はどちらか言うと後者。
今の時代は誰が大統領になっても大変なことは間違いがないのですが、経済回復がモタモタしていると、新大統領への期待の高さが一転、大きな失望へと変わる懸念があります。
特にオバマ大統領が潜在的に持つ「社会主義的な考え方」が出てくる時は、アメリカの危機だと思います。

アメリカ政府が大規模な財政投資を行い、景気を回復させようという狙いですが、その裏付けとなる財政基盤が傾いているのです。
アメリカは世界からおカネを引っ張ってくることによって成り立っています。
日本の財政も悪いわけですが、日本の場合は海外からの借金はゼロ。
株や不動産のバブルは、気持ちよく膨らんでいる間はいいのですが、ふと誰かが「このままじゃ、ちょっと危ないのじゃないの?」と疑問に思った途端、あっという間に破裂する習性を持っています。

同じように、アメリカ経済への信頼がどこかで揺らいだ時、一挙にドルが下落する確率が大きいのです。
仮にアメリカ国民がドルへの信頼をなくし、別の通貨でタンス預金をし出したりするようなことがあれば、まさにその時が「基軸通貨としてドル」の終焉になるのではないかと思います。