凄(すさ)まじい経営

飲食業を営んでいた父親の借金40億円を、16年かけて全部返済した人の話を書きました。

40億円のうち、所有不動産を売却して得たお金が15億円あったので、実質は25億円を事業で稼いだということになります。

16年で25億円なので、1年だと約1億6千万円、1ヵ月だと約1,300万円で、13店舗あるので1店舗当たり月に100万円ずつを返済していった計算になります。

借入れの現金の返済は、すべての経費や税金を支払った後のキャッシュで返済しなければいけないので、逆に言えば、相当の繁盛店になっていたということでもあります。

もし借金がなかったとして、はたして16年で25億円を貯めることができたかと言えば、間違いなく「ノー」でありましょう。

地獄の連続とも言えるプレッシャーが成し遂げた「狂気」の業績でもあります。

そうした苦労を傍目に見ていた息子たちが「絶対継ぎたくない」と言うのも仕方がないかもしれません。

M&Aで会社を売却しようとした時、意外に多くの購入希望者(会社)がいたとのこと。

考えてみれば「無借金の繁盛店」を売りに出すわけで、当然と言えば当然かもしれません。

M&Aで売却する時に、従業員のことを一番心配したそうですが、その後彼らと会ってみると、みんなイキイキと働いており「前よりもいいです」と言われた時は、さすがに複雑な気持ちだったそうです。

会社の在り方には「上場させる」や「地道に長く続ける」や「廃業する」などがありますが、これからは「会社を売却する」という選択肢も普通に出てきそうです。

ならば「いつでも売れるように(いい会社に)しておく」というのも、経営の方針としてアリかもしれないなと思うのです。