冠詞16変化(へんげ)

日本語には冠詞がないので、英米語を話すときによく忘れることがあります。

ドイツ人の先生が言っていましたが、名詞に冠詞がついていないと「気持ちが落ち着かない」のだそうです。

英語だと「a」か「the」をつけるだけでO.K.ですが、ドイツ語になるとそう簡単に問屋を下ろしてくれません。

そもそも名詞に「男性」、「女性」、「中性」の区別があり、それプラス「複数形」というのがあります。

また日本語の「が」、「の」、「に」、「を」に当たる変化で「1格」、「2格」、「3格」、「4格」と分かれています。

例えば、英語の定冠詞だと「the」をつければいいだけなのですが、ドイツ語になると定冠詞は「4×416通り」の変化をします。

der」とか「des」とか「dem」とか「den」とか「die」とか「das」とか、好き勝手に(としか思えない)動きをするのです。

私は20年間ドイツ語を勉強しているのですが、いまだに冠詞の変化がハッキリ分かっていません。

ほとんど「当てずっぽう」で言っていて、その「当てずっぽう」が「当たったり」、「はずれたり」しているだけの話なのであります。

が、世の中うまくしたもので、ドイツ人のほうも外国人の間違った冠詞には慣れていて、要はそう神経質にならなくていいという結論に、私自身は達しております。

フランス語にも男性名詞と女性名詞があり(中性名詞はありません)、定冠詞の「ル」がつけば男性名詞、「ラ」がつけば女性名詞です。

と、ここまでは簡単なのですが、名詞が男性か女性かによって形容詞まで変化することがあります。

どうしてそこまで男女にこだわるのか「ワケわからん」のであります。

その点、英語はそういった「ややこしさ」から解放されており、だからこそ世界言語に成り得たのでしょう。

逆に言えば、世界言語になる過程で、そういった「ややこしい」ことが簡略化されていったと言えるかもしれません。