フリーのキャッシュフロー

同じ高齢資産家でも、幸せな人と不幸な人の違いを、銀行の支店長が述べていました。
即ち、毎月一定の収入が入ってくる人は幸福感が強いし、いくら数億円の資産を持っていても月々の収入がゼロの人は不幸感が強いのだそうです。
資産というストックから、収入というフローを導き出す仕組みづくりが極めて大切だということです。

晩年、毎月一定の収入があると、それで旅行にも行けるし、美味しいものも食べられるし、孫にもお小遣いを上げることができます。
ところが収入がゼロだと、資産を目減りさせるだけなので「資産があるのにケチ」という、よくあるパターンに陥りがちなのです。

リスクに備えて資産を分散させて保有することがよく述べられています。
現金と株と不動産の3つにバランスよく分けるのがいいというわけです。
が、私はこんなのはどちらでもいいのではないかと思います。
自分が一番相性のいいものに偏っていても何ら問題がないし、むしろその方がいいと思うのです。

現に株は全くやらず、不動産だけで資産を築いた人を何人も知っています。
私は不動産業界に長い間従事していたので、不動産投資で成功した人はいっぱい知っていますが、株で成功している人は直接にはあまり知りません。
でも株で成功した人たちは、不動産についてはあまり詳しくはないのではないかと推測しています。
不動産も株も両方得意で資産形成したという人は稀(まれ)で、やっぱりどちらか得意な方で富裕層になったのだと思うのです。

今まで蓄積していた資産を仮になくしたとしても、毎月一定の収入があれば、その後の人生は何とかなります。
が、収入がないと当然ながら、経済的にも精神的にも困難が待ち受けています。
また、例え収入があっても、支出が大きすぎると、これまた具合が悪いのです。
そうすると一番大事なことは、毎月フリーで使えるキャッシュフローがいくらあるかということではないかと思うのです。

年収の多い業界というのがあります。
メーカーや小売りなどは年収が低く、金融や商社やマスメディアなどは年収が高いようです。
が、派手な環境にいると、年収が高くてもそれ以上に使ってしまうという状態が続きます。
商社マンを取材していた記者が、一様に聞いた言葉が「カネがない」だったそうです。

結局、フリー(自由に使える)のキャッシュフローが最重要だということです。
フリーのキャッシュフローこそが人を幸福にすると言っても、けっして過言ではありません。
そこに集中して知恵を絞ることが、資産形成や資産運用のみならず、成功人生の要(かなめ)でもあると思うのです。