まずは思うことから始まる

「不測の事態や不況に備えて『ダム経営』を行うべきだ」と講演で松下幸之助は述べました。
「ダム経営は分かるけれど、現状では“とてもじゃないけど”そんな余裕はない。どうすればいいのか?」との質問が講演の後でありました。

松下幸之助の答は「今はムリでも『ダム経営』しようと思うことですな」。
それに対して聴衆の間には「なんだ、思うしかないのか」といった苦笑が広がりました。
しかしその中にあって「そうか、思うことからまず始まるのだ」と素直にポジティブに受け取めた人がいました。
それが稲盛和夫さんだったとのことです。

今でこそ「不労所得が大事だ」とか「無借金経営をすべきだ」とか「安定収入を持つべきだ」とか偉そうに言っている私ですが、若い時はやっぱりそんな余裕はなかったのです。
ちょっと儲かっても、すぐに何かに消えていくことの繰り返しでした。

機械のリース残や借入れが多額に残っていると、そうそう簡単に無借金経営などできるはずがありません。
しかしそうしようと思わなければ「無借金経営」も「ダム経営」も実現しないことだけは確かです。

今は悪戦苦闘の最中であっても頭の中に理想の姿を描いておかないと、けっして会社はその方向に向かってくれないのです。
まずは「思う」がいかに大切かということなのです。

「思う」だけでなく、書いてしまえばもっと理想が近づいてきます。
私もブログを活用し、何度も自分の夢を書き直していく過程で、頭の中のイメージが段々とハッキリしていく経験を何度もしています。

一倉流(一倉定先生指導)の経営計画書は理想のB/Sまで作成してしまいます。
将来の細かい数字まで全部記入するわけですから、なかなか気合の入った計画書となるわけです。
それぐらいして、やっと会社が理想の方向に向かって進み出すということなのかもしれません。