上海への旅 その4

上海のマンションは、少なくとも関西圏のマンションよりも値段が高いようです。
ふつうのマンションは300万元〜400万元。
つまり約4,000万円〜5,000万円。
中国人の平均年収が、日本の10分の1から3分の1のことを考えると、とんでもない高さということになります。
しかしながらマンションの一つも持たないと、結婚も出来ないとのこと。
そうでなくても「一人っ子政策」のために、若い男性のほうが女性よりも数が多いのです。
そういった意味では、本当に厳しい社会です。

万博の中国館へも行きました。
万博会場の跡地を参考までに見るつもりで、行き先の一つにしていたのですが、中国館だけが今年の9月末までオープンしていることが分かり、入館することにしました。
万博開催中は6〜7時間並ばなければ見られなかったところに、あっさり入ることができ、これはまことにラッキー。

宋時代に書かれた絵を動画にしたものは非常に感動的でした。
もっとゆっくり見ればよかったと残念がっています(待ち合わせの時間があったので)。
ただあとの展示物などは、あまり大したことはありませんでした。
6時間並んで内容がこの程度だったら、ちょっとガックリしたのではないでしょうか。
ちなみに各国パビリオンの中では、中国館と日本館が人気を二分し、韓国館もそれに次いで人気があったとのことです。

夜に「上海雑技団」を見に行きました。
才能のある人たちが、練習に練習を重ねて初めて出来るパフォーマンス。
とても感動しました。
ソウルでの「ナンタ」にも感激しましたが、上海雑技団のサーカスも、けっして見て損はありません。
一流もしくは超一流のものを見ると、こちらまで“やる気”に満ちてきます。

上海の感想を一緒に行った社員に聞くと、まずは「混沌とした印象」との答え。
確かに上海は建物ひとつとっても、戦前のものから超高層ビルまで混在しています。
金持ちと貧乏の差も日本の比ではありません。
逆にあらゆるものが混在していることが、今の上海の活力となっているのかもしれません。
アメリカだって「今に自分だって」というアメリカンドリームが、社会を大繁栄させていったのですから。

もう一つの感想は「店の店員が無愛想」というもの。
これなどは完全に社会主義の名残なのでしょう(中国は今なお社会主義ではありますが)。
ロシアでもそうですが、笑顔一つなく「売ってやる」といった態度のお店も今尚あるようです。
日本は「モノづくり」のことばかり言われますが、案外サービス業でも世界の最先端を行っているのかもしれません。

私が今回発見したことは「服装がダサい人はマナーが悪い」。
垢抜けした服装をした人は、中国人でも外国人でもマナーはいいようです。
「ファッションは自分のためというより、まわりの人のためにするもの」という考えを私は持っているのですが、服装に無頓着な人は周りに対しても無頓着なのかもしれません。
一流レストランでも、着古した普段着のような格好で入ってくる中国人客がたまにいるのですが、その人の言動および醸し出す雰囲気が、急に周りの空気を乱す経験を何回もしました。

逆にファッションセンスのいい人が入ってくると、男女を問わず、その空間のレベルがグンと上がるのです。
私もファッションにはあまり気を使わないほうだったのですが、これからはもっと興味を持ってファッションセンスを磨いていこうと思いました。
私にとってのファッションは、自分のためというより、まわりの人のためにすべきもの。
ファッションというのは、ひょっとしたら思っている以上に大事なものなのかもしれません。