中国・成都への旅 その7

今回の成都の旅行では、物価の高さを感じました。
何せ年収が日本の10分の1なのに、物価は日本と同じぐらいの高さなのです。
不動産だって、普通に考えれば絶対に買えない価格なのに売れている。
どうなっているのか、本当に不思議な現象なのです。
逆に考えれば、日本は年収は高いのに、物価は安く、世界的に見ると、こちらの方が不思議なのかもしれません。

「年収は高く、物価は安い」のは、いい意味でのアンバランスだということに気がつきました。
もしそれがアンバランスだとすれば、どこかに歪(ひずみ)をもたらしているはずです。
ひょっとしたらそれが、過剰な国債の発行量(つまり政府の借金の多さ)につながっているのかもしれません。
ドルは基軸通貨なので、アメリカ政府はいくらでもドルを印刷することが出来ます。
同じように日本政府はいくらでも国債を発行できるわけです。

国債は政府の借金ですが、国民の富でもあるわけです。
ましてや日本の国債は95%が日本国民が所有しているのであって、外国から借金しているわけではありません。
今までのところは案外、国債を発行し政府支出を行っていたことが、上手く経済に寄与してきたのかもしれません。
ここのところは今後の研究課題にしたいと思います。

さてさて中国の不動産バブルの話です。
中国のバブルは崩壊する兆しがあるのかどうかということですが、結論から言うと既に崩壊していると思いました。
最初の夜、成都の街に到着時、高層マンションがいくつも建っていたのですが、電気のついている部屋がほとんどありませんでした。
購入したものの、実際には住んでいない部屋です。
実需ではなく、完全に投資用。
投資というより、むしろ投機です。
日本のバブル崩壊をモロに体験した私の感覚では、中国不動産のバブル崩壊は、今は水面下で起こっているけれど、来年あたり全土的に顕在化してくるはずです。

バブル崩壊に確信を持った事例をもう一つ。
大連の空港に近づくにつれ、いくつも大規模な分譲マンションを見かけました。
日本の公団のようなマンションではなく、けっこう瀟洒(しょうしゃ)なマンション群です。
一団の土地に数十棟のマンションが立ち並んでいるのですが、中にはそのすべてが建築中のところもあったのです。

普通は、一棟が売れたら次の棟に取り掛かるという方法を取るはずです。
そうでないと資金繰りが大変です。
そうではなく、そこは全棟建築中。
こんなやり方はバブルでしか考えられません。
そしてバブルは、山が高ければ高いほど、谷が深いのです。
バブル経験者の私が見ても、どう考えても今の中国の不動産市場はおかしいのです。
おかしいのがいつまでも続くわけがないのです。

中国経済は不動産バブル崩壊から変調をきたす。
そしてそれが他の産業にまで波及する。
従って日本の企業で、あまりに中国に依存しすぎているところは苦境に陥る。
たぶんそれが来年の状況ではないかと推測されるのです。