浙江省温州市は経済活動が活発で、温州商人は「中国のユダヤ人」と言われています。
製造業も盛んなのですが、最近は資金繰りに窮し、経営者が失踪するケースが多いのだそうです(夜逃げした経営者は約60名)。
輸出先の欧州や米国の景気が悪く、売上が伸びないだけでなく、人件費の上昇、原材料の値上がり、人民元高など、さまざまな要因が重なり、「世界の工場」としての中国の存在が揺らいでいます。
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高速道路や鉄道建設など、社会のインフラ造りへの公共投資は一種の「有効需要の創出」とも言えます。
中国では個人消費がGDPに占める割合は3割ほど。
7割のアメリカや6割の日本と比べると、かなり低いわけです。
「保八」といって、GDPを8%以上成長させるのは、中国政府の至上目標なので、8%より低くするわけにはいかないのです。
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色々な課題を抱える中国経済が、ここまでやってこられたのは、ひとえにその「スピード」。
経済成長のスピードが、すべての矛盾を覆い隠してきたと言っても過言ではありません。
従って、もしそのスピードが鈍ってくると、経済のみならず、治安の面でもひじょうに具合が悪くなってくるのです。
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中国政府はリーマンショック以降、日本円にして50兆円もの政府支出を行い、経済を支えようとしました。
また国営銀行に対しても、企業融資への資金を供給するように指導しました。
そのため金融はジャブジャブになり、それらが実需に向かえばよかったのですが、その多くは不動産投資に向かったようです。
それだけを見れば、日本のバブルと同じなのですが、日本の場合は消費者物価は上がりませんでした。
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ところが中国では、食料や生活必需品が大幅に値上がりし出したのです。
いわゆるインフレ。
上海などの都市部で、年収は日本の3分の1ほど。
成都などの内陸部では10分の1ほどしかありません。
それで日本と同じような物価で、どうやって生活しているのかがよく分かりません。
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「これで暴動が起こらない方が不思議だ」ということですが、実のところ暴動はよく起こっているようです。
ただし私が中国へ行って見聞きした限りでは、街はどこも平穏そのものでした(ガサガサはしていましたが)。
経済への不安が、社会体制の崩壊につながりかねないところが、ほかの先進国では見られない中国独特のリスクでもあります。