中国の三つ巴

GDPは「個人消費」と「企業投資」と「政府支出」と「輸出マイナス輸入」で成り立っています。
GDPに占める個人消費の割合は、アメリカで7割、日本で6割です。
これに対し中国は3割。
中国のGDPは政府支出と企業投資と輸出で成り立っていると言ってもいいでしょう。

中国は安い労働力を武器に、世界の向上となったわけですが、賃金の上昇により、その基盤が揺らいできました。
中国での生産はリスクやコストが高くなり、今まで中国での生産に頼ってきた企業の中国離れが始まっています。
例えばユニクロでも中国での生産が50%を切るようになりました。
ベトナムバングラデシュミャンマーが、中国に取って代わって、海外企業の工場を自国に招く努力をしています。
それらの国にとっては、今が絶好のチャンスでもあるわけです。

中国での過剰流動性が、中国国内での物価の上昇をもたらしています。
同じものでも香港で買う方が、お隣の深センで買うよりも安いのだそうです。
あるいは香港ドルで買う方が人民元で買うよりも安く買えるという現象が起こっています。
物価が上がるから賃金をますます上げなければならないのですが、職にありつけない人たちにとっては、生活苦に直結する問題です。

中東での民主化運動が中国にまで波及するのかどうかは微妙ですが、中国の底辺にかなりマグマがたまっていることは間違いありません。
中国にもいろんな顔があり「経済」や「政治」や「軍事」が三つ巴になって、国を引っ張っていこうとしています。
今のところ「政治」が「経済」や「軍事」を支配していますが、バランスが崩れ「経済(派)」が中国で力を持つと、より自由で豊かな国に向かい、「軍事」が力を増すと国内外ともに、かなり危険な状態になることが予想されます。