意外なライバル

私の知人でマンスリーマンションを手広く経営していた人がいます。
他社のマンスリーマンションよりもグレードを少しアップして差別化し、それがまた好評で、経営的にも上々の業績を納めていました。
ところがホテルが朝食付きで1泊3,980円という価格を出しだすと、次第に顧客がそちらに流れだし、空室率が大幅に増えてしまいました。

マンスリーマンションは自己所有の建物を使う例は少なく、たいていは借上げなので、空室が増えると、家賃の持ち出しになるリスクがあります。
知人も月100万円近い持ち出しが数カ月続いた後、遂にはマンスリーマンションからの撤退を決断しました。
マンスリーマンションは部屋自体は借上げですが、家具備品類は購入しているケースが多く、マンスリーマンションをやめた場合これらの処分も大変です。

市場には顧客とライバルしかいないとは、よく言われる言葉ですが、このケースではライバルは他社のマンスリーマンションではなく、ホテルだったとは意外でした。
テレビ業界が他社のテレビ局がライバルだと思っていたのに、実はパソコンが真のライバルだったというのとよく似ています。
今の世の中は、本当に何が起こるか全く予測がつきません。

コインパーキングでも同じような現象があります。
マンションデベロッパーが土地を購入したものの、市況の悪化で建築着工を凍結し、そこに暫定的にコインパーキングを設置することがあります。
できるだけ費用をかけたくないので、アスファルトではなく砂利敷きのままで、24時間の最大料金を500円という低価格に設定。

そうすると周辺のコインパーキングのみならず、まわりの月極駐車場にも影響が出てきます。
大阪の都心部で月額3万円ぐらいしていた駐車料金が、またたく間に値崩れしてしまいます。
ただしユーザーにとっては、マンション用地のコインパーキングがいつ廃止になるかは予想がつきません。
この場合もライバルは他のコインパーキングではなく、マンション建設予定地であるわけです。