手堅く進める

ほんの2年前には絶好調だったホテル業界ですが、これほどの大ピンチが来るとは誰一人予想できなかったと思います。

一定規模以上の立地がいい土地が売りに出されると、今まではマンション・デベロッパーが競い合って買いに来ていました。

ところが、そこにホテル開発会社が割り込んできて、その土地をさらっていくことが多くなりました。

マンションデベロッパーでは採算が合わない高価格でも、「ホテルなら行ける」との判断があったわけです。

民泊物件になると参入のハードルはもっと低くなるので、当社レベルの小さな不動産店でも検討する余地がありました。

特に京都などは世界中から観光客が押し寄せ、宿泊所の絶対数が足らない状態でした。

当社から京都へは日帰りで簡単に行ける距離なので、下手すると今頃は、京都に民泊の3つや4つをこしらえていた可能性が十分あります。

仮にそうだとすると、相当のピンチに陥(おちい)っていたはずです。

私も会社の経営に携(たずさ)わって40年近くになりますが、最初に「やるべきこと」よりも「やらないこと」を決めておく方が、よほど大事ではないかという気がするのです。

民泊もたまたま「やらない」と決めていた事業だったので、ラッキーにも生き延びました。

ちなみに他に「やらない」と決めているのは、太陽光発電投資や海外投資。

事業の種類ではないのですが「借入れ」も「やらない」と決めています。

いくつもの事業に手を出し、失敗を重ねてきて、今まで唯一成功したかもしれないと思うのがコインパーキング。

空き地を借上げ、コインパーキングを運営していく方式が一般的ですが、当社の場合は土地の購入から始め、集金・清掃も自社で行うというビジネスモデルです。

しかもほとんどのコインパーキングが宝塚市内に集中しています。

コインパーキング適地はなかなか市場に出て来ないのですが、次の購入チャンスに備えてお金を貯めていこうと考えています。