不動産市況の話 その1

アベノミクスの影響で、地域的には東京や京都や福岡の不動産がよく動いているようです。
今は売り物も多く、買い手も多いという状態で、これらの地域の不動産流通は一種のバブルの様相を呈しています。
ただし前回のミニバブル(ファンドバブル)同様、アベノミクスが全く影響を及ぼしていない地域もあります(むしろそちらの方が多い)。

金利や貸付量の多さといった金融の緩みが、不動産流通を下支えしているのは間違いがありません。
今は昭和末期バブルの時よりも銀行融資の残が多く、60兆円を超えているとのことです。
得体のしれない金融商品よりは、目に見える不動産のほうがいいという動きがあり、不動産の投資マーケットは絶好調のようです。
投資家のすそ野は確実に広くなってきています。
賃貸住宅フェアでも、個人投資家向きのセミナーは人が鈴なりになっていました。

日本の高度成長を支えたのは製造業で、銀行の融資先も圧倒的にメーカーが多かったのですが、メーカーからの資金需要が減り、銀行の貸出先が見つからない状態になっています。
今や不動産のマーケットが最も有力な資金融資先になっています。

またしてもアパート建築の受注が猛烈に増えているようです。
賃貸の需要は増えていないので、近い将来、空室率がより高まるリスクがあります。
賃貸オフィスは低迷しています。
その理由の一つは、社員数が減っているからです。
例えば大企業で1,000人が辞めても、300人しか採用しないという例が多いからです。
また日本ではなく、外国で働く人も増えています。

企業が固定費のコストダウンする時は、必ずオフィスのコストに目をつけます。
ある上場企業は一等地にオフィスを構え、月1億円の家賃を支払っていました。
オフィスを東京の別の場所に移動しただけで、月2,500万円の家賃に下がり、年間10億円のコスト削減をしたそうです。
しかも預けていた多額の保証金まで返ってきたというおまけまでつきました。

オフィス需要は強くないのに、東京では高層ビルがどんどん建てられています。
ビルの大量供給による需給のアンバランスが懸念され、それが2016年にピークになるため「2016年問題」と呼ばれています。
借り手が増えない中での大量供給が行われているわけです。
大阪の梅田北ヤードでも、入居テナントはまだ3割程度だそうです。