不動産市況

日本の不動産市場において、前回90年は「価格」のバブル、今回のミニバブルは「供給量」のバブルと言えそうです。
一部都心において、主にファンドによる価格バブルもありましたが、全体的には低金利が後押しする供給量の多さがここ数年の特徴です。
仮にサブプライム問題が発生していなくても、日本のミニバブルは弾(はじ)けていたと思われます。

不動産市場は「株価」と「銀行融資」に大きな影響を受けます。
株価が下がり、銀行融資も絞られてくるとなると、必然的に不動産市場も厳しくなります。
売れにくくなり、在庫が市場にあふれてくる。
逆に言えば「いい物件が安く買える」チャンスとも言えます。
東京23区でも利回り10%以上の収益不動産が珍しくなくなってきたそうです。

不動産在庫をたくさん抱える会社や、借り入れの多い会社、あるいは損益分岐点の高い会社ほど厳しい状況になります。
反対に不良在庫や借り入れがなく、少人数で固定費の低い会社は、同業他社が淘汰される分、生き残るだけで有利になります。

企業城下町では、派遣社員などの大量のリストラにより、アパートの空室が一挙に増加したところもあります。
都心でもファンドが購入した高額賃貸マンションは全く動かず、空室状態が続いているとのこと。
12月の東京と愛知の人口流出入はマイナスだそうです。

注文住宅でも安い商品が人気で、ある大手ハウスメーカーの平均受注額は、この5年で16%も低下したとのことです。
マンション分譲会社が、子会社の管理会社を売却する例も増えているようです。
管理業務は収入が安定しており、購入した会社はスケールメリットが追及できます。
2008年3月期は過去最高の利益を出していたのに、その後あっさりと倒産したマンション・デベロッパーも少なくありません。
すべては資金繰りが原因です。