市況を読み、次の一手へ

不動産市況を分析している第一人者のお話では、いつも夏休みを境に大きな変化が起きているのだそうです。
不動産融資に積極的だった金融機関が引き締めに入り、不動産市場が一段と厳しくなりました。
最近の不動産業の倒産の特徴は、資金繰りの悪化から倒産までの期間が非常に短いことだそうです。

消費者には生活防衛の意識が浸透し、需要自体が減退しています。
ガソリンの高騰でクルマ関連産業は売上の減退を余儀なくされていますが、飲食業や観光業の落込みも半端ではないようです。
新しい住居への移行はお金がかかりますが、賃貸の退去数も減り、引越しの数も少なくなっているとのこと。

不動産の換金処分や在庫処分により、市場にもっと多くの物件が、これから出てくるものと思われます。
キャッシュをたっぷり持った個人(的)投資家には、逆に魅力的な市場になるのかもしれません。

けっこう長期間好調を維持してきた新築マンションの販売ですが、ここにきて厳しさを増しています。
東京の品川で販売された「定期借地権マンション」が、衝撃的な安さ(坪単価がまわりの3分の1)でアッという間に完売。
これが口火を切り、新築マンションの完成在庫の値引きが避けられない状態になってきました。
また分譲業者が買わないので、用地の持ち込み先がなくなり、土地自体が売れなくなってきました(そんな土地の一部がコインパーキングに)。
収益物件も市場にあふれ出しています。
駅近で値ごろ感のあるマンションや住宅は、今でも人気商品です。

わが世の春を謳歌していた東京のオフィス市場にも、どうやら秋風が吹き始めてきたようです。
坪単価も弱含み。
ましてや東京以外のオフィス市場は、もともと市場が小さく、少し供給が増えると途端に需給のバランスが崩れてしまいます。

このような低迷時代にもメリットはあります。
しっかり会社を守って生き残れば、まわりのライバルは勝手に消えています。
また不動産投資業の立場でいえば、絶好の買い場到来。
不動産売買仲介業だって、物件が市場にたくさん顔を出すということは、それだけビジネスチャンスが増えるということを意味します。

やるべきことは次のとおり。
①コストダウン
②地元密着
③不良在庫・不良事業の「見切り千両」
いずれにせよ、一見苦境と見えるこの時期に、水面下で懸命の努力をし、次の飛躍に備えたいものです。