決算書を見る  その1

私は「独立するぞ!」とか「新しい仕事で頑張るぞ!」とかいった気概もなく、たまたま会社を設立し、たまたま不動産売買仲介業を始めました。

何となく始めた会社が38年間続いているわけです。

「たまたま」で入った不動産業界ですが、会計習慣的には悪くない業界だと、最近になって気がつきました。

まずは手形がないのです。

また仲介業の場合、売掛金がほとんどありません。

在庫だってないのです。

不動産業でも建売業やマンション・デベロッパーになると、とたんに在庫が増えます。

それもモノが建物や土地なので、とてつもなく大きな在庫となってしまいます。

在庫を抱える商売になると、急に倒産のリスクが増えるのです。

マンション市況は波が大きく、販売好調だと在庫がなくなり、やみくもに(ということは値段が高くても)土地を仕入れ、在庫でお腹いっぱいになった頃に不況が訪れ、マンションが売れなくなってしまいます。

で、倒産。

何度このパターンを繰り返してきたことでしょう。

財閥系か鉄道系でないと、マンション供給業では生き残れない宿命にあるように感じます。

決算書のB/Sを見た時に、現金や普通預金は別として、他の資産の中身を精査しなければなりません。

売掛金など後ろに「金」がついているのでキャッシュと勘違いしてしますが、先方に実際に支払ってもらって初めて現金になります。

棚卸商品が資産として計上してあっても、その中身は「売れない不良在庫」かもしれません。

有価証券だって、実際は簿価を大きく下回ってる可能性だってあるのです。