お金が寝る3悪

経済環境が悪いときでも不動産会社が“しぶとく”生き残るのは、手形を出していないからだと思います。
不動産は現金取引が基本なので、手形や売掛金が存在する余地がありません。
私も40年間不動産業界に“どっぷり”と浸かっていますが、今まで一度も手形を見た覚えがありません。

お金を稼ぐ能力と、お金を残す能力はどうも別のようで、営業力が抜群の人でも、稼いだお金をザルに水を注ぐように垂れ流してしまうことがあります。
あるいは売上げが上がれば上がるほど、資金繰りが苦しくなるケースもよくある話なのです。

会社におけるお金の動きは「入る」と「出る」のほかに「寝る」というのがあるのです。
これが「P/Lオンリー社長」には分からず、B/Sを勉強しなければならない点でもあります。
お金が本来の実力を発揮せずに、滞留している状態を「お金が寝る」と言います。

お金が寝る3悪というのがあって、それらは「売上債権」、「設備投資」、そして「棚卸資産」です。
商品を売ってもお金を回収しなければ意味がありません。
お金も入って来ていないのに、帳簿上では売り上げとなって税金ばかり支払っていたのでは、資金繰りは成り立ちません。
不動産売買には「売上債権」というのがないので、随分助かっている面があると思います。

製造業などでは、ちょっとしたブームが来ると、あたふたと設備投資をしてしまいます。
そして借入れが増えブームが冷え込んだところで、会社がアウトとなることが多いのです。
不動産業界ではバブルがありました。
バブル崩壊とともに、本来潰れなくてもいい会社まで倒産してしまいました。

過剰な棚卸資産も経営の足を引っ張ります。
日常生活でも、いらぬモノを捨てると運気が上がります。
不動産会社であっても、一度思い切った棚卸をしてみて(むろん不動産の売却も含まれます)、B/Sをスッキリさせてみてはいかがでしょう?

これからの時代、経営のダウンサイジングも「あり」だと思うのです。
今までの事業を絞り(カットし)、ニッチな商圏で勝負し、少数精鋭で得意分野だけに特化していくのはかなりいい戦略だと思うのです。
当社も次の一手を考えているのですが、ここで書けないのがとても残念です。