賃貸管理業務を考える

東京の不動産状況を聞いていると、何となくバブルの前段階の感じがします。
バブルというのは実需とは関係なく、経済が膨(ふく)らんでいく現象です。
実需のバロメータの一つである賃貸市場はどういう状況かとみてみると、相変わらず借り手市場であることは間違いがないのですが、賃貸住宅への法人需要(例えば借上げ社宅のようなもの)は少し戻ってきた感があるようです。

収益不動産の市場では、個人投資家が存在感を増しています。
ある東京の不動産管理会社では、自社の管理物件の増加分のうち、個人投資家の物件が8割を占めているとのことです。
その会社は先進的なシステムをどんどん取り入れているので、勉強熱心な個人投資家とは相性がいいのかもしれません。

アパートオーナーは「地主系」と「投資家系」の2種類に大きく分けられるのですが、『金持ち父さん』以来「投資家系」が増えてきました。
個人投資家は「ビジネスとしてのアパート経営」であるので、合理的で決断が早いという特徴があります。
「地主系」も代が変わると、「投資家系」に近い2代目が登場したりします。

賃貸管理会社も増えてきたのですが、その業務内容は日進月歩で、今までなかった賃貸周辺商品やシステムもどんどん生み出されてきています。
不動産管理会社だって、勉強しないと時代に取り残されるのです。
5年前のビジネスモデルが、もう通用しなくなる現象すらあります。

仲介管理の仕事には次の4つの分野があります。
①管理受託
②リーシンング(客付け業務)
③現場管理
④集金管
これらの仕事をすべて賃貸担当者が行っている会社も多いのですが、業務的には真逆のエネルギーを使うことも少なくありません。

例えば客付け業務では出来るだけ契約したいと思うわけですが、現場管理や集金管理の立場から考えれば出来るだけユーザーを選別したいわけです。
自己矛盾していますよね。
従って本気で管理業務をやろうと思うならば、4つの業務のうち、何を自社のコアにするかを決め、それに特化していくべきかもしれないのです。
自社の一番得意の分野に特化していった方が、エネルギーが分散せず、業務に集中できるというわけなのです。