不動産市況の話 その2

オフィス需要が減っている原因は、好不況というよりも、むしろネット社会になったということではないかと考えられます。
ITを活用すれば、どこででも仕事が出来てしまいます。
これは小売店舗でも言えることで、本がネットで簡単に買えるようになったため、街の本屋さんが苦境に陥っています。
ただし、大型書店や超大型書店はそれなりの魅力があるので、むしろ増えていくのではないかと思うのです。

同じことが旅行業界でも言え、ネットで切符やホテルの手配が可能なので、旅行代理店に行かなくてもいいわけです。
ネット販売が盛んなので、逆に今は大型の物流施設が足らないのだそうです。
銀座で売っても採算が合わない商品でも、ネット販売ならO.K.です。
今や小売店にとっては、ライバルはネットなのです。

レストランや美容院や整体院などは、必ずそこに行かなければサービスが受けられないので、ネットはライバルではありません。
むしろネットは来店を呼び込むための広告手段です。
親の代からの薬局店を引き継いだ私の友人は、漢方薬のネット販売で成功していて、薬局の売上は今や全体の5%に過ぎないとのことです。
ネットをいかに活用するかは、商売するものにとって避けられない課題であることは間違いありません。

家族世帯も変化しています。
東京では「1人世帯」と「2人世帯」で75%を占めるのだそうです。
マンションデベロッパーはファミリー向けマンションばかり建てていてもダメなのです。
企業にとっての今までの成功体験と、社会の求めるものが違ってきているのです。
老人にとっては「医」食住の便利なところがいいわけですし、子供がいる家庭では学校区がいいところがいいわけです。
コンセプトも絞らずに、ごった煮の商品を提供していてはダメなのです。

名古屋はトヨタの本拠地で、いま経済が最も活発な地域の一つです。
5,000万円ほどもする分譲住宅もよく売れているとのこと。
関西で5,000万円もする戸建がホイホイと売れるところは、極めて少ないのではないかと思うのです。
ひょっとしたら名古屋圏の経済が大阪圏を超えたのかもしれません。