見切り千両

首都圏は不動産バブルは吹き荒れていたのですが、昨年の夏から潮目が変わってきたようです。
1年前とは打って変わって状況が変化。
株価も下がり、金融も引き締まり、これが不動産市況に大きな影響を与えています。
新築分譲マンションや建売は、売れ行きが鈍ってきました。
神奈川県の中堅デベロッパー6社が破綻したそうです。
マンションデベロッパーや建売業者には冬に時代の到来のようです。

上がりすぎた地価が下落していくのは間違いがないのですが、これからが値下がりの本番。
2割やそこらの値下がりでは終わらないようです。
前回バブルでは、ピークの5分の1になりました(つまり80パーセントダウン)。
ただしわが営業エリアでは、バブル自体が本格的に来たとも思えません
一部の利便性のいい場所以外は、ずっと地価が下がり続けていました。
“劇的に”ではなくマイルドに下げていくのかもしれません。

賃貸はとっくの昔に需給のバランスが崩れ、
空室率の高さに悩まされ続けてきたのですが、ここにきて賃貸の需要が強くなってきた現象が見られます。
「不動産の購入をやめて賃貸で」という人が増えてきたのかもしれません。

東京では超高層の建物が増えているのですが、下のほうの階は必ずと言っていいほど店舗用のスペースが取られます。
必然的に店舗の空きが増え、仮にテナントが入ったとしてもオーバーストア状態に。
小売業界は大手の寡占状態へと向かっています。
しかしそれとてオーバーストアで、互いにパイの奪い合い。
特売競争に走らずに、高い収益力の確保を図っていかないと、大手でも生き残りが難しくなってきています。

超高層マンションの計画が大阪では今52件あるそうです。
これは東京よりも多い計画数。
販売は本当に大丈夫なのでしょうか?
ちなみに兵庫県には23件の計画があります。

広告費と人件費を使わないというのが、今後の不動産業で求められる方式。
自社のコアの部分は何かを徹底的に追求し、コア以外はカットしていくべきだと思うのです。
コアに絞ると事業がシンプルになります。
足らない部分はアウトソーシング
本来の不動産業は、少人数でも出来る知恵の産業。
本来の不動産業の原点に早く戻ったところから、再び活性化していくような気がしています。
では不動産業の原点とは?
「不動産の活用」こそ、その原点ではないでしょうか。

「働き一両、考え五両、見切り千両」との言葉を教えていただきました。
ある大手の会社のトップのお話。
「ぐじゃぐじゃ続けて上手くいったことはまずない。『見切り千両』を実行し、商品の3分の2を切り捨て、会社を浮上させた」。
「切る・やめる」の決断はトップにしか出来ないのですね。
話には続きがあり、商品の見切りぐらいはまだ簡単。
最大の「見切り千両」は人事だったそうです。