不動産市況と経営方針

首都圏を中心に不動産の在庫が増えています。
「山高ければ、谷深し」で、急激な価格上昇があったところは、その反動も厳しいようです。
新築分譲マンションなどの販売不振は、どうも全国的な傾向のようで、今回の限定バブルが波及しなかった地域でも、同じように買い控えが見られます。

新築マンションのようなエンドユーザー向けの物件在庫が市場に積み上がっていきます。
のみならず、不動産会社が所有している在庫も、資金繰りなどから手放さざるを得なくなり、多数市場に出てくる可能性もあります。
従って価格は下落へ。

価格が下落するデフレ現象が顕著になる一方、原材料の高騰という問題があります。
販売価格が下がっているのに、原価が上がるという、供給側にとっては踏んだりけったりの状態。
逆に値ごろ感のある既存の住宅やマンションは、流通市場においては人気が出そうです。
借入れに頼らなくていい、キャッシュポジションの高い投資家にとっても、絶好の「買い場到来」の時期が来たかもしれません。
金利は上がる上がると言われてきたのですが、サブプライムの問題などで、世界的にはむしろ下がる方向に向かっています。
金利は続くのですが、ただ融資先が絞られてきそうです。
不動産会社が物件を買いたくても、融資が出ないということが考えられます。

空室が増えているのに、新規のアパートや賃貸住宅が供給されるという不思議な現象は、ようやくストップしそうです。
不動産の購入を見合わせた人たちが賃貸に向かい、一時に比べると空室率が下がるという現象も見られます。
ただし家賃は相変わらず下落傾向です。

ファンドがなりふり構わず購入したマンションは、高額物件が多く、空室が相当目に付くようです。
東京のオフィスでのタイトな需給関係にも変化の兆しが見られそう。
優良テナントの奪い合いも起こるのではないでしょうか。

いい土地が安く出てくる可能性が大なのですが、前回のバブルの教訓から言えば、2割や3割下がっても、慌てて買うべきではありません。
何せ前回バブルでは、住宅地で8割下がり、商業地では9割下がったのですから。

株でも「買い時、売り時、休み時」というのがあるそうです。
不動産投資家にとっては明らかに休み時。
不動産会社の場合は、むしろ社内の固定費の削減などで、損益分岐点を徹底的に下げる努力をすべき時期なのだと思います。
損益分岐点を下げないと、じっくりと腰を落ち着けて市場を観察していくわけにはいきません。
今は「何も仕事をしない」か「実需に絞った仕事をする」のどちらかしか方法はないと思います。
いずれにせよ、コストダウンやIT化や外部活用を、今こそ徹底的に考え抜く時期だと思うのです。