不動産バブルと価格

前回の「90年バブル」は全国的に、また物件の種類を選ばずに不動産(もっと言えば不動産だけでなく株やゴルフの会員権や絵画などすべて)が値上がりしたわけですが、今回の「ファンド・バブル」は首都圏の一流ビルや一等地など、極めて限定的な値上がりでした。
「90年バブル」の時は東京で起こったバブルの波が、音を立てて地方都市へ押し寄せてきました。
私の友人など、その音が聞こえたと言います。

前回「90年バブル」の時は、私もプレーヤーの一人だったのですが(そして傷も大きかった)、今回「ファンド・バブル」では完全に傍観者。
「90年バブル」のピーク時には、売物件が市場に出る前に業者により買取られてしまい、極端な品薄状態が続きました。
ところがある時期を境に、猛烈な勢いで物件が市場に出始めました。
まるで津波のよう。

「90年バブル」において不動産価格はどれぐらい下がったかというと、だいたいピークの5分の1。
8割下がったということになります。
だから今回2割や3割下がって「安い!」と飛びついて買ったりすると、まだそこから大幅に下がり、売るに売れない状態になります。
自分が欲しかった不動産が市場に出てきたのであれば、せっかくのチャンスなので購入してもいいと思うのですが、転売目的では大損が目に見えています。

株でもそうでしょうが、相場は個人の力ではコントロール不可なのです。
津波に一人で立ち向かうことは、決してできないのです。
不動産の転売で儲けることは比較的簡単なのですが、生き残るのは至難の業。
私のまわりでも、何人ものプロが消え去りました。
転売自体はあまり世の中に付加価値を生み出さないように思います。
仕事というのは、自分が世の中に役に立ってナンボ。
それにシンプルライフを目指していれば、別にベンツに乗る必要も出てきません。

きのう東京から1時間のエリアで不動産店を営む人とお話をしました。
きれいに宅地造成された住宅地の坪単価がなんと10万円。
製造コストをも割っています。
最近は定年退職した人たちが、終の棲家(ついのすみか)を求めて購入しだしたので、少しはマシになったとのことでした。
アメリカではゴーストタウンというのがありますが、日本でもそういったところが出てくるのではないかという気がします。