これからの不動産の動き

東京へ不動産の勉強に行くと、新しい言葉に出会うことがあります。
「ゲストハウス」あるいは「シェアハウス」というのもそうでした。
「マンスリーマンション」は時間を区切って貸すもの。
それに対し「ゲストハウス」は空間を区切って貸すわけです。
考えてみれば「ホテル」というのは究極の賃貸形式であるのかもしれません。

きのうは「アウトレット不動産」という言葉を聞きました。
ふつうのアウトレット商品は販売時期のタイミングを逃した在庫を格安の価格で売るわけですが、不動産のアウトレットも同じ意味。
売れなくなった物件を3割以上値引きして「アウトレット不動産」として販売していくことが流行るかもしれません。

「アウトレット不動産」までいかなくても、いま売れている商品のキーワードは「割安感」。
割安感のある住宅は、個人消費が冷え込む中でもよく売れているようです。
収益物件もミニバブルのころと比べると、各段の割安感が出てきました。
従って個人の投資家が「買い出動」しています。
日本には個人の金融資産が1,500兆円あると言われています。
不動産価格が下がると、不動産投資が活発化するというのは、合理的な動きでもあります。

高値で購入した土地をたくさん所有しているマンションデベロッパーや建売業者は非常に苦しい状況に差し掛かっていると言えます。
マンションデベロッパーの破綻は、まだ一合目にすぎないという見方もあります。
一方、安い住宅はそこそこ売れていたり、不動産の換金処分が増えたり、個人の投資意欲が高まったりしています。
「不動産市場は悪い」と一方的に言い切れないところが面白いところ。

東京は全国に先駆けて価格の調整が行われているようです。
それに比べ大阪やその他の地方都市は、まだまだ価格の高止まり傾向があり、それだけ不動産市場の低迷が続くとも言えます。
ミクロ的に行っても「見切り千両」を行ったところから業績の回復が見込まれます。
マクロ的にも同じことで、価格調整が終わった地域から、新しい展開に入れるということです。

各地の企業城下町の状況は厳しく、名古屋などは1年前と比べれば天国と地獄のようです。
アパートや賃貸マンションでも、法人契約が一斉に解約・退去となり、オーナーが苦境に陥るケースも少なくないようです。
地方都市のテナントビルは、ひとたび経済が縮小するとなかなかテナントが埋まりません。
地方のテナントビルは、一見利回りが高いように見えてもリスクも大きいといえます。
やはり買ってはいけない投資物件というのはあるようです。

会社が生き残るには「固定経費の削減」と「手元資金の確保」。
具合の悪い在庫の「見切り千両」はどうしても必要です。
ただし見切り千両するにも体力がいるのがつらいところ。
逆に体力があるうちに見切り千両すべきなのでしょう。
不動産の有効活用をもう一度考え直すべきかもしれません。
有効活用の中には「不動産の売却」もその選択肢の一つとして入ってきます。
「有効活用事業」が不動産業のエースとなるような気もしています。