中国リスク

北朝鮮生殺与奪の権を中国が握っているのは、客観的に見て間違いがないところでしょう。
そうすると、北京政府が北朝鮮の核実験に反対しているのに、北朝鮮が核実験を強行しようとしている意味が解らなくなります。
北朝鮮の軍部の強硬派をなだめるために、北朝鮮のトップがリップサービスを行っているという解釈も成り立ちます。

一方、北朝鮮の経済や軍事を、隣接している中国の「瀋陽軍」が支援しており、核実験に関しては、その瀋陽軍が後押ししていると見ることもできます。
そうすると北京政府と瀋陽軍との意向が違っているとも言えるのです。
瀋陽軍は機械化部隊を保持する、中国最強の軍組織でもあります。

中国は7軍区に分かれています。
瀋陽軍区、北京軍区、済南軍区、南京軍区、広州軍区、成都軍区、蘭州軍区の7つです。
瀋陽軍区は旧満州地域、済南軍区は青島が含まれている地域、蘭州軍区はウイグルチベット地域です。
この7軍区は昔の軍閥のように、それぞれに独立した軍隊といっていい存在です(勝手バラバラな動きをする可能性があります)。
北京政府のシビリアンコントロールが効いているのかどうかも疑問なのです。

アメリカのゲイツ長官が中国を訪問したとき、それに合わせるように成都軍がステルス機のテスト飛行を行いました。
北京政府首脳との会談でゲイツ長官が抗議すると、北京政府首脳は誰もその事実を知らなかったという実話があります。
この一件など、各軍区があたかも独立軍のように振舞っていることを表している事件であります。

北朝鮮が核実験を強行すると、それに反対する北京政府と、それを支持する瀋陽軍との間に、大きな対立が生まれます。
ひょっとすると瀋陽軍が北京制圧に動く可能性さえ考えられるのです。
それはけっして絵空事ではないのです。
そうすると中国内戦に向かいます。
中国で働く約14万人の日本人をどう安全に帰国させるかが、日本にとっては最大の課題となるでしょう。

実はアメリカの製造業は中国からどんどん撤退し始めているとのことです。
中国での生産コストとアメリカ国内で生産コストの差が、ほとんどなくなってきたことがその理由と言われていますが、そういった経済的理由だけでなく、案外中国内戦リスクを懸念して、人材を母国に返す動きをしているのではないかと感じるのです。
巳年には世界的な大事件がよく起こるのですが、2013年は中国がらみの大事件であるような気がしてなりません。