未体験ゾーンにゾクゾク

自分で会社を始めて30年になります。
わが社のことはともかく、長い間ほかの会社を観察してきて、会社経営に成功するコツを一つだけ挙げよと言われれば「朝早くから仕事を始めること」と答えたいと思います。
会社経営に限らず、あらゆる分野で成功者の8割は朝型(というより早朝型)であるように思います。
これは今まで数多くの本を読んできて分かった事実でもあります。

夜型の人は一時的に成功しても、どこかで破たんが来ることが多いようです。
成功が長続きしないのです。
猛烈型の営業会社が夜遅くまで仕事をしていることがよくありますが、継続するのはだいたい3年ぐらい。
夜型はあまり信頼できないのです。
国の政策でも夜中に飛び出してくるものはロクなものがありません。

これは私だけの話になるのかもしれませんが、夜のお付き合いを減らしてから、ぐんと時間が充実してきたように思います。
食事会は参加するにしても、2次会はあまり実りのある時間ではないように思えるのです。
ましてやナイトクラブの部類になると「百害あって一利“あり”」です。
よく冗談半分に「女性のいる席には信仰上の理由で行けないのです」と言えば、笑って解放してもらえます。

最近は夜は専ら(もっぱら)読書に充てています。
入院中、丸4日間で36冊の本を読んだことで、何か読書の質(次元)が違ってきたような気がしています。
夕食もお風呂も済ませ、夜9時ごろから本を読み始めることが多いのですが、眠くなるまでに3〜5冊の本が読めてしまえます。
ほとんど本に吸い込まれているような状態で、あっという間に時間がたってしまいます。

禅の「十牛図」で言うなら「人牛倶忘」といった感じ。
「読書が読書をしている」とでも表現したらいいのでしょうか。
いずれにせよ、今まで経験したことのない読書の未体験ゾーン。
そういった新しい境地に入ったのかもしれないと思うとゾクゾクしてきます。

渡部昇一先生が60歳を超えた頃、ラテン語の本の丸暗記に挑戦し、それを終えると記憶力がビックリするほど進化したことを本に書かれておられます。
実際、対談などでも漢詩を全文スラスラと口に出されていたりします。
通常の使用能力を超える負荷をかけると、脳というのは大きく進化する可能性を秘めているのかもしれません。