「円高」は悪いのか? その2

1995年に1ドル79円になり「超円高」と騒がれました。
今でもその水準になると大騒ぎになると思います。
しかしここ20年間にアメリカの物価は40%アップしたのですが、日本はゼロ。
実質的な国際輸出価格で言うならば、1995年の1ドル79円に匹敵する今の為替水準は1ドル60円なのだそうです。
となれば1ドル80円以上する今の相場は、まだまだ円安ということになります。

輸出企業は優秀な企業が多く、日本の代表企業というイメージがあります。
従って輸出企業に損害が出るとなると、心理的にもダメージが大きいのです。
もし仮にトヨタがダメになったら、日本国全体がダメになるような気がしてしまいます。
だから円高は評判が悪いのです。

アメリカが「ドル安」政策をとっています。
つまり円高容認
円高にしても、どこからも文句が出ないのです。
円高への千載一遇のチャンスでもあるのです。
その絶好のチャンスに、政府が介入してまで円安にするのは果たして正しいのかどうか?
むしろ円高というチャンスをいかに上手く活用するかを考えるべきではないかと思うのです。

普通、通貨はその国の経済状態によって上下します。
例えばギリシャはユーロを使用していますが、もし独自の通貨を使っているとするなら、その通貨の価値は3分の1以下になっているのではないかと推測されます。
しかしドルやユーロや円のようなストロング・カレンシーは、その国の経済状態とは関係のない、別の動きをするようです。
「どうして不景気だし、財政状態の悪い日本が円高になっていくのか?」という疑問があるのですが、日本だけの問題で「円」が動くわけではないというのがその答です。
円の動きはドルやユーロとの関係で決まるのです。
ついでに言うと金価格の上昇も、同じ理由から起こっているわけです。