知的生活人 その5

語学を学ぶに当たり、幹の部分である「文法」さえ理解したならば、あとは枝葉をつける努力をすればいいだけです。
それが語彙力をふやすこと。
いわゆるボキャビュラリー(vocabulary)です。
実際、単語の意味さえわかっていたら、すいすい外国の新聞や雑誌や本が読めていけます。
単語は覚える端(はな)から忘れていくのは仕方がないこと。
私など昔から記憶力が悪いので、今さら記憶力の衰えなど全然気になりません。
が、「若い頃はどんどん覚えていけたのに、年取ってからはすぐに忘れて全然ダメだ」という人は、熟年語学学習に際し、年齢ショックを受けるかもしれません。

大学で何カ国語も教えている人が書いていたのですが、「忘れる」に対処する方法は「繰り返すこと」しかないのだそうです。
単語を覚えるという地味な作業の中に面白さを見出す人が、実は語学の天才なのではないでしょうか。
あるいは「覚える端(はな)から忘れる」ことを苦にもせず継続していける人を「語学の才能がある」と呼ぶのだと思います。

語学にかかわらず「暗記」は極めて大切なものだと、自分が実際に勉強していて感じます。
語学は単語や文章を覚えるところから出発するのではないでしょうか。
応用が問われそうな英作文だって、実は「英借文」。
下手に頭の中で考えようとせずに、英文をどんどん真似していけばいいのです。
真似している間に、自分のものになっていく。
人が幼児から言葉を覚える過程も、これと同じことではないかと思うのです。