ファンド・バブルの終焉

「ファンド・バブル」は、どうやら崩壊の兆しがハッキリしてきたようです。
単に資産バブルだけでなく、住宅や不動産の実需自体が減少方向へ向かっています。
「90年バブル」崩壊時のように、厳しい市況が予想以上に長く続くかもしれません。
いずれにせよ嵐を前提に、経営準備をしておかなければならないようです。

不動産の取引の件数が減少したり、モデルルームへの来場者が減ったりしています。
不動産の在庫の増加も急ピッチ。
金融も引き締まり、不動産業者への融資の選別や、住宅ローンの審査も厳しくなりつつあります。
また原料高による建築費の高騰が価格を押し上げています。
アパートや賃貸マンションは依然供給過多で、需給のバランスが戻る目途が立っていません。
建築確認に時間が相当かかるようになり、不動産業者の資金繰りに影響が出る可能性もあります。
不動産市況は、株価の動向にも大きな影響を受け、株価が下落するとパワーが衰えます。

不動産物件を抱えた業者の中で、資金繰りが悪化したところから、物件売却の動きが出るものと思われます。
不動産業界は、これからが淘汰の本番とも言えます。
ただ上場企業の不動産需要や個人の不動産投資意欲は強く、これらが不動産需要を下支えしています。

不動産業者への融資が厳しくなり、関西圏ではすごい勢いで売り物件が出てくることが予想されます。
売り手の資金繰り事情により、バラバラの価格で出てくることも考えられ、慌てて買わずに、じっくりと吟味した方がいいかもしれません。
一棟売り収益物件は、今でも市場の水面下でたくさん出ているのですが、来年はもっと顕著に市場に出てくるものと思われます。

建築確認業務の停滞は、住宅設備業界にもダメージを与え、住宅設備メーカーは減産体勢です。
新規のマンション建築が進まず、中古の駅近・築浅の人気マンションが、より脚光を浴びるかもしれません。

東京の最新の一等地オフィスは、坪当たり7~10万円の賃料で、東京ならではの高い家賃設定。
大阪では大型の一流ビルで坪13,000円。
実は福岡も坪13,000円。
福岡と大阪とが同じなのです。
経済規模から言って、福岡はちょっとバブリーかもしれません。
名古屋は市場が小さく、坪当たり最高1万円もいかないようです。

今の不動産事情は、90年バブル崩壊時とよく似ています。
不況に備えるに越したことはありません。
在庫を減らし、キャッシュポジションを高め、経費を見直すなどの手を打っておくべきでしょう。
市場の売出し価格はなかなか下がりません。なぜなら、いくらにすれば売れるかが分からないからです。
前回90年バブルで物件を抱えた業者は、優良物件は残し、売りにくい物件から売ろうとしたため、販売が長期化しました。
いたずらに時間を消費したあげく、全物件を損切りしなければならなくなりました。
物件を処分する時は、売れるものから“さっさ”と売っていくのが正解のようです。
認識の甘さが致命傷に結びつきます。