不動産市況の方向

前回バブルは範囲が全国的で、また不動産に限らず、株やゴルフ会員権や絵画にまでバブルの波が押し寄せました。
またあらゆる業種が好調で、儲かっておりました。
今回のバブルは、東京の一流ビルや一等地が中心。
これらの物件は価格が何倍にも上がりましたが、地方の地価は下がり続けたままです。
また前回バブルでは全く見かけなかった「ファンド」という登場人物も今回の特徴です。

前回のバブル崩壊では、一般の住宅地で5分の1、商業地で10分の1に価格が下がりました。
今回も高騰したところはそうなるのでしょう。
従って不要不急の土地であれば、地価が2割ぐらい下がったからといって、慌てて買うべきではないと思えます。
9割下がる可能性が十分あるのですから。

ここ10年ほど、日本以外の国の経済は、ちょっとバブっていたように思います。
アメリカの住宅価格など絶対バブルに違いないと、傍から眺めて思っていたのですが、サブプライムという一番弱いところからバブルが決壊しました。
前回の日本のバブルだと、日本の銀行のみが瀕死の重症を負い、100年間積み立ててきた各銀行の収益を全部吐き出し、合併を繰り返しました。
大手の銀行で結局名前が変わらなかったのは住友信託銀行です。

サブプライムの問題では、ローン債権が証券化され、金融商品に組み込まれていたので、その商品を購入した世界中の金融機関に影響が波及してしまいました。
アメリカのサブプライム問題で、イギリスの銀行に取り付け騒ぎが起こったりもしました。
日本の銀行は“あつもの”に懲りていたおかげで、サブプライム関連の損失は比較的軽微であったのは幸いです。

日本はバブル崩壊の先進国なので、私も前回プレーヤーの一人として自信を持って言えるのですが、サブプライムの損失額はなかなか確定できないのです。
損が確定したなと思ったら、そこからまた不動産価格が下がり、また損を出さなければいけない。
きちんと損切りさえできれば、株式市場も一応納得するのですが、それがずるずるといつまでも出来ない。
だからそれを嫌がって株価も下がる。
そんなことが繰り返されるのです。

サブプライムの影響で外資が引き上げ、日本の株価が下落しました。
株価が下がると、心理的に不動産市場に影響が出るのです。
高い価格設定をした新築分譲マンションや分譲住宅の売行きが鈍り、在庫が増加。
また建築確認の長期化で商品化に時間がかかり、資金繰りに窮する不動産会社も出てくるのではないかと思われます。
また金融機関による不動産関連融資も絞られる方向へ。

不動産業界で抱えられていた在庫が一挙に市場に出てくると、不動産価格の大幅な値崩れが予想されます。
前回バブルでも3年以上かけて下落して行ったので、今回もそれぐらいかかるかもしれないし、案外半年ぐらいで、そのような状況が出てくるかもしれません。
期間は分からないのですが、方向性だけはハッキリしています。