経済の流れを読む

ある日本を代表する住宅メーカーのCEOの講演を聴く機会がありました。
日本ではダントツの営業力を誇る会社ですが、今は海外にも力を入れているとのこと。
海外では単に住宅(マンション)を供給するといった考えではなく、いかに素晴らしい環境を提供するかに力を入れているそうです。

オーストラリアやシンガポールでは一等地に最高の環境を付加させ、かなりの成功を収めているようです。
アメリカでも中々好調で、話を聞いているうちに、この会社の株を買っておくべきではないかという気になってきました。

ところが中国にも4,000億円もの投資をしているとのこと。
これが非常に気になりました。
中国の数か所で事業を行っているのですが、現金の回収は時期的にまだまだの状態のようです。
それらのマンションはまだ建築途中で販売にまでこぎつけていないのですが、周辺の物件はドンドン値下げして売っているとか。

中国のバブル崩壊は誰が見ても分かる状態になってきており、中国の場合はそれが単に経済的危機に留まらず、社会的動乱、もっと言えば内乱の危機にすら陥るリスクがあるという点がほかの国と違う点でもあります。
場合によっては4,000億円の投資を放棄しなければならない事態になるかもしれません。
日本人駐在員の中国脱出に苦慮するリスクだってあるのです。

昭和末期のバブルが平成になって崩壊し、私は大きな痛手をこうむった一人ですが、今となっては世界経済を眺める時、その経験がスゴク役に立っています。
バブルの崩壊はまるで津波のようで、個々の力で防げるようなものではないこと。
バブルには近づかないことが一番だけど、仮にバブルの波に乗ったのであれば、途中でサッサと降りてしまうこと。
バブル崩壊の兆候は事前に必ず見受けられること、等々です。

日本が「失われた20年」を経験している間、欧米の経済は絶好調でした。
ところがリーマンショックが来て、世界経済はガタガタになりました。
リーマンショックは2008年でしたが、あとから見れば2006年には既に不動産の状況がおかしかったのです。
バブルに酔っていると、そういった兆候を見逃してしまうのです。

是川銀蔵さんは戦後「資本主義はこのまま続くのか?」を解くために、仕事もせず大阪・中の島の図書館に毎日通って勉強したそうです。
私も「経済の流れ」や「資本の意志」を知るために、徹底的に本を読んでいこうと思っています。