市場の変化を見極め、わが社を変える

不動産バブルにおいて、業者や個人が買い求める力が強すぎる時、物件は市場から姿を消してしまいます。
しかしあるとき誰が命令するわけでもないのに、いっせいに物件が市場に出てくる現象は不思議でもあります。
株のように数字がハッキリしているものでも、ピークかどうかはその時点では分からず、後になって答が出ます。
日経平均3万8915円の時だって、それがピークで、後は下がる一方だと分かっていた人は一体何人いたでしょうか?
ましてや不動産のバブルのピークに気がつくのは、至難の業なのです。

今回の世界同時不況だって、元はと言えばアメリカの住宅バブルの崩壊から起こっているのです。
アメリカの住宅価格がそのまま上昇していたら、世界は以前好景気のままで推移していたと思うのです。
みんなハッピーだったはずなのに、突如として住宅バブルが弾けてしまう。
人間の意思ではない「何か」がそうさせているとしか思えないのです。

もし「資本の意思」というものがあるとしたら、それがどう行動するだろうかを考え、将来の経済現象をピタリピタリと当てるエコノミストがいます。
「景気不景気は太陽の黒点の動きによって起こる」ことを発見した人もいます(ウィリアム・ジュヴォンズ)。
もうこうなると人間の意思を完全に超えているわけで、逆にいかに好不況に上手く企業活動を合わせていくかが経営の妙ということになります。

一倉定先生いわく「経営とは市場の変化に合わせて、我が社を変えていくこと」ですが、
「経済合理性を持って、世の中に役に立つこと」とも言えるかもしれません。
世の中に役に立たなければ、企業の存在意義はないし、また赤字では存続維持ができないわけです。
「強欲資本主義」では長続きしないし、経営力や先見性がなければ繁栄しない。
「清貧」ではなく「清富」でありたいものです。
厳しい経済環境が続いていますが、初心に戻り、徹底的に智恵を絞ってみようと思っています。