摩天楼の呪い

「摩天楼の呪い」というのがあるそうで(エポックメイキング的)超高層ビルができた途端、経済に大規模な不具合が起こるというものです。

NYエンパイアステートビルが完成した時は、世界大恐慌に突入。

入居テナントが全然決まらず、エンパイアならぬ「エンプティ(カラの)」ステートビルと呼ばれていたそうです。

シカゴのシアーズ・タワー(現ウィリス・タワー)は長いあいだ全米一の高さを誇る建物でしたが、これが完成した時はオイルショック

マレーシアのペトロナス・ツインタワーの時はアジア通貨危機

ブルジュ・ハリファ建設中の2009年秋にはドバイ・ショックが起こりました。

日本でも梅田スカイビルの例があります。

梅田スカイビル(の空中展望台)は、今でこそインバウンドの必見観光地となって繁盛していますが、その完成は90年代バブル崩壊とドンピシャリのタイミングでした。

例によってテナントが決まらず、ビルオーナーの積水ハウスが自らテナントの一部として入居しました。

「摩天楼の呪い」などと言うと、オドロオドロしい印象がありますが、考えてみれば当たり前の話で、景気がよくカネ余りがいい状態が続くと、ついつい高いビルを建てたくなるわけです。

それ自体は別に悪い話ではなく、事業としては当然な欲求で、こういった気持ちがないと経済は発展しません。

イケイケどんどんで投資するわけですが、数年を経てビルが完成する頃には景気が悪化し、バブルがはじけるタイミングと重なるというわけです。

会社でも立派な本社ビルを新築すると、そのあと会社の具合が悪くなるというジンクスがあります(銀行でもそうなのです)。

立派なビルを建てる時は、浮かれず淡々と本業に邁進すべきという教訓でもあります。