ウェスティンホテル大阪「故宮」

今回の会食のお相手は、私よりも年輩で、古くからの知人です。
この人は九州のM県で不動産業を営んでいるのですが、学校を卒業してから一度も親の世話になったことがないのだそうです。
今はM県でベスト3に入る不動産会社で、私の尊敬する人の一人でもあります。

「辣腕家」とか「やり手」とかいった雰囲気は一切なく、またハデさもなく極めて地味。
しかしながら悠々とした会社を築き上げ、たぶん銀行の信用度から言えばM県ナンバーワンではないかと思います。
長い年月、生き残っていく老舗の会社というのは、きっとみんなこのような感じではないかと思うのです。

地方の衰退が言われていますが、実際その方向に進んでいるのも間違いないと思います。
が、商売的に言うならば、大手も入ってこないような地方都市で、圧倒的なナンバーワンの会社は極めて有利な営業を行っていることが多いのです。
言い換えれば、よく儲けているのです。

こういった会社を観察していると、何も会社は上場を目指すだけが能ではないと思えてきます。
会社の創業からしばらくはバタバタしていて”とても”余裕はないのですが、少し落ち着いたら「どういう会社を目指すのか」をしっかりと考えなければならないかもしれません。
拡大上場路線ももちろん「アリ」ですが、決して会社を大きくせず、自社の得意分野に特化してやっていくのも、これまた「アリ」だと思うのです。

会社のコンセプトがハッキリしてくると、自然に顧客層も見えてきます。
「お客様第一主義」は「お客様」のところを選ばないと、社員がヘトヘトになります。
相性の悪い苦手な顧客層が相手だと、やはり苦しいのです。
良い知恵だって浮かびません。

会社の究極の存在意義は「専門性」ではないかという気がします。
その会社にしかできないノウハウや技術や商品やサービスがあってこそ、世の中に役立てるのだと思います。
そこをシッカリと磨くことなしに、金儲けやライバルを蹴落とすことばかり考えていても、発展性がなくてあまり面白くありません。
会社の将来や戦略を考える時、ワクワクしなければウソだと思うのです。